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グランドゴールド

〔日本グランドユニテックス杯/ FR〕鉄人室田が勝負強さを見せ、日本グランド2勝目

2020年10月22日

 「日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権~ユニテックスカップ2020~」の最終ラウンド。グランドの部(60歳以上)では、単独首位スタート室田淳(65)が6バーディー1ダブルボギーの67をマークし2位に4打差をつけて、2020年の日本グランドシニアチャンピオンの座についた。

 室田淳が、2年ぶり2度目のグランドの部王者に輝いた。

 一瞬、ひやりとした。2位奥田に5打差をつけていた15番。「ピッチングウエッジの距離だったが、ラフだったし、5打差あったんで攻めないと思った。アプローチウエッジではなくてピッチングですこし抑えて打ったんだけど、かぶってキャリーが出過ぎてしまった」と、グリーンオーバーしてまさかのOB。ダブルボギーにした。相手の奥田はバーディーを決め、差は一瞬で2打に。残り3ホール、何が起こっても不思議ではなかった。

 5打差だから攻めに行くとは?「守っちゃダメなんだよ。相手に完全にあきらめさせないと。2位争いをさせるためにね」。

 16番でその真骨頂が出る。「割り切って新たな気持ちでいけたね」と、奥田がバーディーパットを外した後、5メートルのバーディーを沈めて、3打差に広げた。奥田はこの時点であきらめたと振り返っている。「いいパットが入ったね。(相手に逆転できるという)気持ちを持たせてよかったんじゃない。守るとボギー打っちゃうから、攻め方間違えないようにと思ってやったからね」と室田もこのバーディーで勝利を確信したのかもしれない。

 シニアツアー20勝、シニアの鉄人と呼ばれる「勝負強さ」は、スタートから随所に発揮された。2位に3打差をつけてのスタートに「圧勝したくて朝出ましたけど、水巻くんの調子が良くて、これは最後まで行くかなと」と、気持ちを切り替えた。7番で水巻が8メートルほどのバーディーを決めた。自身は1.5メートルのパーパットが残っていた。「水巻君が先に入れて『しめしめ』と思っていただろうから、そういうところでトップを走っていたら、見せないとね」と、これを決めて2打差をキープした。

 これも優勝経験の豊富さが生んだ強さか?「そこで締めないと追いつかれるからね。ボギーを打たないと思うと、相手はバーディーを取らないといけなくなると、取れないもの。隙を見せたらだめ」。

 最終18番でダメ押しの4メートルのバーディーパットを決めた。他の選手のパッティングを残してウイニングパットになったのだが「4パットしても勝てるという時は入るもんなんだよ」と笑った。

 今季、新しいドライバーを試していたが、なじまなかったため、元のドライバーに戻した。「その方が、ミスしても許容範囲に収まるから」という。それよりも、昨年シニアツアー未勝利に終わった要因、アイアンの距離が自分では納得できていない。「腕が落ちているんだよね。アイアンの距離が出ないんで2、3年苦しんでいるのよ。替えてみたりしているんだけどね。もう終わりだよ」と笑うのは、求めるレベルの高さから来るのだろう。

 シニアツアー残り3試合、この優勝はきっかけになる?「この優勝はツアーとは関係ないよ。でもこのドライバーでやっていけば、そこそこ、3つのうち1つぐらいは優勝争いしたい」。

 本人は「復活」とは思っていないだろうが「優勝するためには」という見本を示したような戦いだった。

(オフィシャルライター・赤坂厚)