大会舞台となったいぶすきゴルフクラブ開聞コースは、11月を迎えると開聞岳から海に向かってご当地ならではの季節風が吹く。開聞おろし。この日の風速は3・9m/sだったが、寒さが加わったことでアンダーパースコアをマークした選手は、わずか6人。スコアを落とす選手が続出する中、2バーディー・ノーボギー70でフィニッシュしたのは溝口英二。19位タイから通算3アンダー・3位タイに急浮上し、明日の最終日は最終組でスタートする。首位とは2打差だけに、逆転優勝への橋頭保を築き上げた一日となった。
「出だしのホールで5メートルのバーディーパットが入ってくれて、あとは後半の13番ホールで3メートルかな。風が強かったね。(スコアメイクが)難しいと思いながらプレーしていました。この風だから2アンダーでも良いスコアかなと思っているけど……他のみんなも悪いしね」。
パーオンを逃してのアプローチショットを打ったのは、3ホールを数えるだけ。安定したショットで溝口は、ただ一人ノーボギーで18ホールを回り終えている。
「ショットイメージだけでクラブ選択していました。それがうまく噛み合ってのスコアですね。風と喧嘩なんてできないし、そんな技術はありませんよ(苦笑)。昨日はイーグルを獲ったし、バーディーもいくつか獲ったけど結局1アンダー。パットが入らなかったかな。今日は必死でプレーしてのスコアですし、ノーボギーと言われるまで気づきませんでした」。
今季はコロナ禍で試合数が減った状況を挙げ、溝口は一戦一戦いつも以上に集中力を高めて臨んでいるという。その延長線上に「優勝」があると信じているのかも知れない。
「欲張らずにプレーするだけです。優勝なんて考えていません。明日(最終日は)寒いんでしょ? 寒いと振れなくなるし、シャフトがしならなくなるし、飛ばなくなるし、急にボールに当たらなくなるし…。僕は非力だから。最終組のプレッシャーよりも寒さでダメになってしまう感じかな」。
優勝争いを意識しているからこそ、自分はまったく無関係だと装っている。強風下でもノーボギーゴルフを再現したなら、優勝が転がって来ると踏んでいるようだ。