日本ゴルフ協会主催「第30回日本シニアオープンゴルフ選手権」が9月17日から4日間、兵庫県にある鳴尾ゴルフ倶楽部(6,601yard/Par70)で開催される。プロ112名、アマチュア14名が出場し、賞金総額6000万円、優勝賞金1200万円と賞金ランクを左右する今季初の公式戦となる。大会連覇を狙う谷口徹(52)をはじめ、高橋勝成(70)、倉本昌弘(65)、室田淳(65)の歴代チャンピオンに加え、藤田寛之(51)、手嶋多一(51)、深堀圭一郎(51)、佐藤信人(50)という若手シニアも参戦。1920年に誕生した山のリンクスといわれる鳴尾ゴルフ倶楽部。開場100年目という節目の年に、日本タイトルをかけたシニア熟練の技が繰り広げられる。
今年のシニアツアーは2試合に出場、先週のレギュラーツアー「フジサンケイクラシック2020」にも出場しているディフェンディングチャンピオンの谷口徹。史上3人目となる日本オープン、日本シニアオープンの両タイトルを手に入れているが、大会連覇を達成すると日本オープン、日本シニアオープン2冠ずつという快挙を成し遂げることになる。
「快挙という点では、それほど意識していません。レギュラーにも出ていますけど、シニアはシニアの楽しみ方があるし、どのタイトルでも優勝するのはすごい難しい。だけどやりがいもある。もちろん今年も勝ちたいというのはあります。今はいいスコアでというよりも、求めているものがきちんと打てるようにしたい」。谷口のストイックな姿勢が言葉に表れる。
大会初日、2日目の予選ラウンド組み合わせは、谷口徹、倉本昌弘、室田淳という大会歴代チャンピオンでのペアリングとなることが発表されている。永久シードプレーヤー倉本昌弘は2010年、55歳の時にここ鳴尾でシニアオープン初優勝を飾り、2014年には2度目のタイトルを獲得。シニアツアー最多20勝を挙げている室田淳は、2位が4回と毎回タイトルにあと一歩としていたが、7度目の出場となった2011年でタイトルを手に入れ、2013年の大会でも優勝を遂げている。
注目される一回り以上の先輩たちとの戦いについて「若手と回ると思ったけど、そうじゃなかった(笑)。自分が60歳になったときに、ああいう姿でプレーが出来ているかどうか・・・。実際には10年先の目標は持てないですよ。だからそれはいい意味で目標になります。大先輩たちとの試合は、いい緊張感になるはずです」。歳を重ね、シニア世代に入ったからこそ、飾らない言葉が溢れてくる。
「今年コロナの影響で 4 月ぐらいにゴルフはもういいや、という気分になったんですよ。開幕に向けて逆算してやってきて、試合が無いとなったら何のために練習をやっているのかわからなくなって。モチベーションを保つのが難しい。そんな中で、シニアで試合があるとわかった時から練習に身がはいるようになってきて。こうやって選手権をやっていただいたことは本当に有り難いんです。改めて大事なものというか・・・自分の生き甲斐だなと思いました」。谷口は今の気持ちを、言葉をかみしめるようにゆっくりと話した。きっとその裏には、優勝という二文字を心に秘めたコメントに違いない。