ツアープレーヤーの顔のほかに、アマチュアのレッスンにも力を入れている。チームセリザワゴルフアカデミー校長の肩書を持つのが、芹澤信雄だ。今大会の開催舞台・太平洋クラブ 御殿場コースに同アカデミーを大箱根CCから移転して3年が経つ。
コロナ感染による自粛中は、ここ数年で最もラウンドを重ねられたという。
「毎日10時過ぎには練習場でアカデミー生徒さんや(弟子の)女子プロ、スタッフらと一緒にボールを打ち込み、午後からは最終組のスタート後にハーフラウンドする日々を送っていました。今大会に出場する選手の中で、御殿場コースのことを一番知っていると思いますよ」。日焼けした顔に白い歯がキラリと輝いた。
レギュラーツアーでは秋のビッグトーナメントの一つとして「三井住友VISA太平洋マスターズ」が開かれている。
「太平洋マスターズを観戦して、プロゴルファーに憧れ、この御殿場コースでツアープレーヤーとしてプレーしたい!と思ったことが、プロゴルフ界入りへのそもそもの切っ掛けでした。26歳の時にプロとして初出場し、以来何十回も試合舞台に立つことができました。しかし、まさかシニアプロとして、再びプレー出来るなんて…チャンスをもう1回頂いた気分ですよ」。開催地元・静岡県御殿場市出身の芹澤にとって、御殿場コース開催の大会で優勝することが、プロゴルファー芹澤としての「夢」の一つだったのだ。
コースから実家までは車で10分ほどの距離だけに、まさに「オラが街のプロゴルファー」として、何としてでも「夢」を実現させたい。
「秋口とは違って、夏場の芝草は元気ですよね。ラフはボールが沈む程度ですが、グリーンは流石に超高速というほどではありません。太平洋マスターズではグリーンスピードが毎年12フィートはありますが、夏場は芝をそれほど刈り込めませんから速くは出来ませんよね。それでも10フィートを目指すとか。とにかく、飛距離では若手に勝てませんが、そこは気力でカバーです。モチベーションは高いですよ。
でもね、レギュラーツアー時代、御殿場コースでの試合出場に憧れていた(シニア)選手が意外に多く、そんな選手たちも気合いが結構入っているんです。僕は気持ち50歳、体は60歳ですが、芹澤は頑張っています!をアピールさせてもらいますよ」。
昨年の大会初日にホールインワンを達成し、5アンダーで単独首位に立っている。結局、2010年の富士フイルム以来の優勝には及ばなかった。「マルハンシニア初日は何かと運もツキにも恵まれているようなので、頑張りますよ」と芹澤は、スタートダッシュに照準を絞った。