通算10アンダーで首位の座を分け合った初見充宣と福沢孝秋。勝負の行方は1番パー5、2番パー4ホールを使ってのプレーオフにもつれ込んだ。
福沢は今季開幕戦のスーパーシニアの部で優勝し、2試合連続Vが懸かっていた。一方の初見は左手首の具合が良くなかった。
「腱鞘炎になってしまい、本来のスイングができなくなってしまったんですよ。この大会に向けて、シャフト硬度をSから少し軟らかいSRにリシャフトしたら、痛みが治まり、意外にスイングできるようになり、ショットも安定し始めたんです」と初見。まさにケガの功名だ。通算5アンダー・2位タイで、首位と1打差スタートの最終日。初見は前半でスコアを二つ伸ばし、後半でもバーディーパットを3回決めた。「アイアンショットが切れ、ピンに絡んでばかり。バーディーパットの距離は長くて5メートルくらい。もう少しパットが決まってくれたなら展開が楽だったかな」。17番ホールで3パットし、首位の座から後退したものの、最終18番ホールで3メートルをねじ込み、再び首位に並んだのだった。
プレーオフ1ホール目。パー5の2打目をグリーン右手前に初見はボールを運んだ。飛ばし屋の福沢は3番ウッドを手にした。ツーオンを狙ったショットをミスしてしまう。「ダフってグリーンまで70ヤードも残してしまった。身も心もガックリ来たね、あのミスは」と福沢。
福沢は4メートルの、初見が1・5メートルのバーディーパットを決め切れず、プレーオフ2ホール目(2番パー4)に突入。オナーの福沢はフェードボールをイメージしてアドレスに入った。だが、逆球のドローボールが飛び出し、左林の中に打ち込んでしまう。初見は2打目でグリーンを確実に捕らえる。「今日、一番距離のあるバーディーパットにしちゃったな」と言いながらグリーンへ向かう。結局、福沢は3オン2パットのボギー。初見が2パットで収めてパーセーブし、今季初優勝を手にしたのだった。
立科CC所属の初見、諏訪湖CC所属の福沢はともに長野県在住であり、旧知の仲。「予定どおりの長野チーム2連覇(笑)。試合を開催して頂いたからですね。コロナ禍にあって様々な趣向を凝らして試合を開催してもらえるのは本当に有り難いことです」。初見は開催される試合でこれからも全力を尽くすことを改めて誓っていた。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)