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シニアツアー

【ISPS HANDA コロナに喝!・FR】三つ巴の優勝争いを制し、鈴木がシニア4勝目を飾る

2020年08月23日

 今季PGAシニアツアー第2戦「

プロゴルファー誕生100周年記念 ISPS HANDA コロナに喝! シニアトーナメント

」の最終ラウンド。連日首位の座を守っている鈴木亨(54)が4つスコアを伸ばし通算19アンダーで優勝を飾った。シニア通算4勝目。1打差2位に室田淳(65)と渡辺司(63)。スーパーシニアの部は、初見充宣(67)がプレーオフを制し優勝。

 大会2日間、単独首位の座を守り、鈴木亨は通算15アンダーで最終日を迎えた。最終組は鈴木と1打差2位の渡辺司、さらに3打差3位タイの「シニアの鉄人」室田淳と日下部光隆。通算20アンダー前後を想定したコースセッティングは、バーディー合戦の様相を呈していた。

 1番パー5ホール。飛ばし屋の鈴木と室田が確実にバーディー奪取する。鈴木は3番パー4でバーディーパットをねじ込み、通算17アンダー。渡辺もバーディーを奪って通算15アンダーで食い下がる。迎えた6番パー5ホール。風向きは右からのフォロー。鈴木のドライバーショットは思いもしない木に当たり、しかも跳ね返って池にボールが消えた。ドロップ後、ライの悪さもあったが強引のショットが災いし、5打目のバンカーショットでグリーンに辿り着く。「ピンに結構うまく寄せましたが、スライスラインを打ち切れなくて…」。痛恨のダブルボギーを叩き、渡辺とともに通算15アンダーで首位に並ぶ。続く7番パー4ホールでは鈴木、渡辺、室田の3人がバーディー。三つ巴の優勝争いとなった。

 サンデーバックナインに入り、11番パー5ホールで鈴木が通算17アンダー、室田は通算16アンダーにスコアを伸ばす。13番パー5ホールで鈴木、渡辺、室田が再びともにバーディーパットを沈める。一打を争う好プレーが続く。14番ホールで室田がこの日7つ目のバーディーを奪い、通算18アンダーにまででスコアを伸ばし、ついに鈴木を捕らえた。15番パー4ホール。鈴木の悪い予感は、ホールを重ねるごとに強まっていた。

 「ドライバーヘッドが割れているか、フェースにヒビが入っているかも知れない。でなければ変な球ばかり、いつもより飛ばないショットになるはずがない」。15番ホールでパーセーブした鈴木は最終18番ホールを想定して、16番パー4ホールでは、この日一度もティーショットで使っていない3番ウッドをあえて手にして打った。「1打目を3番ウッドで打ったらバーディーが取れました」。値千金のバーディー。通算19アンダーとして鈴木が再び単独の座を奪ったのだった。

 最終18番ホールではゲームプランどおりに3番ウッドでティーショットを放った。2打目はピンまで148ヤード。9番アイアンでグリーンキャッチしたものの、ピンまで10メートルほどもあるファーストパットを残してしまったのだった。

 1打差で追いかける室田は距離ワンピン強のバーディーチャンスを作り上げている。鈴木はバーディーパットをカップまで70センチに寄せた。「室田さんが(バーディーパットを)入れたら、プレーオフか」と諦め半分の気持ちで見守った。室田は入れ切れなかった。鈴木はウイニングパットを沈め、3日間首位の「完全優勝」で飾った。

 プロゴルファー誕生100周年記念をスローガンにした今大会を制した鈴木は「(プロは)そんなに格好よいとは思いません。僕にとっては仕事であり、生きるためにゴルフをしています。人を喜ばせたいとか、感動与えたいとかはなく、結果的にそう結び着けられたら良いのですが…。だからこそ、試合がないという状況だと身にならないというか。

 仕事の場を与えてくださった半田大会会長には感謝しています。主催者あってのプロゴルファーというか、本来なら来週のマルハン太平洋シニアまで試合が、仕事がなかったわけですからね」

 大会開催を心底喜び、出場選手たちを代表し、勝者として感謝する鈴木。一生懸命に仕事をしたからこそ、一打を争う好ゲームを繰り広げ、最後は頂点に立てた。格好良い勝ちっぷりだった。1220人のギャラ―たちは皆そう感じたはずだ。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)