PGAシニアツアー第2戦「プロゴルファー誕生100周年記念 ISPS HANDA コロナに喝! シニアトーナメント」の第2ラウンド。首位スタートの鈴木亨(54)が7つスコアを伸ばし15アンダーで連日の首位。14アンダー2位に渡辺司(63)、さらに3打差3位には、日下部光隆(51)、寺西明(54)、室田淳(65)が並ぶ。4アンダー46位までの59名が最終ラウンドに進出した。
通算8アンダーの単独首位に立って迎えた大会二日目。2位とは1打差を着けて臨んだスタート1番ホールのパー5。鈴木亨は「前半は、ちょっと自分ではなかった」と振り返る。バーディーを取り損ね、3ホール続けてのパーセーブ。スコアの硬直状態から抜け出すかのように4番ホールからの4連続バーディーで「存在感」を大きくアピールして見せた。前半でスコアを4つ、後半は3つ伸ばし、7バーディー・ノーボギー65でフィニッシュ。通算15アンダーで単独首位の座を死守。だが、2位との1打差は変わらずに最終日を迎える。
「昨日と比べてパットが全然ダメでした。調整しないといけませんね。ショットは大きなミスがなく、昨日に比べて良かったです。ラフからのショットもラウンドを重ねるごとに距離感が戻って来ています」。鈴木は逃げ切り優勝への手応えを掴んだような言葉を発した。
そんな鈴木と1打差の通算7アンダー・2位タイでスタートした寺西明は、前半でスコアを一つしか伸ばせずにいた。だが、後半に入るとエンジン全開。11番パー5でイーグル、12番パー4でバーディー、13番パー5では再びイーグルを奪う。3ホールでスコアを一気に5つ伸ばしたのだった。順調にスコアを伸ばす鈴木と2打差で迎えた最終18番ホール。雷雲が近づき、吹き付ける風が強まる。標高600メートルの地に位置するコースには吹き降ろす風と吹き上がる風が、まるで息をしているように思えた。目まぐるしく変わる風向き。寺西はバーディーフィニッシュする思いでティーショットに臨んだ。
「ミスショットですよ。木の枝にガサガサって。高い球で木を越えて行くショットをイメージしたのですが、あと数十センチ足りませんでした。結果は痛恨のダブルボギー」。寺西はショットの調子が決して良いわけではない。ただ我慢強くプレーしてスコアを作り上げている。「悪い時にどれだけ辛抱強いゴルフができるか。我慢し続けていたら、必ずご褒美が来るんですよ」。
今季シニアツアー開幕戦後の8月中旬、北海道で行われた登別オープン。寺西は優勝している。今大会と同じくショットはそれほど好調ではなかったものの、辛抱のゴルフで頂点に立ったのだ。その経験を無駄にはしない、したくない思いが、最終ホールでのダブルボギーでさらに強まった。「出場する限り…どんな試合でも僕は勝ち来ているんです!」。底力のある寺西の爆発ゴルフに期待したい。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)