シニア第2戦は、日本で最初のプロゴルファー福井覚治氏が誕生してから100年目ということもあり、「プロゴルファー誕生100周年記念」をスローガンとして開催する。元々はファンケルクラシックが行われる日程だが、半田会長は「来年はぜひ開催を実現してもらいたいのです」と、大会開催記者会見では説明。今年はゴルフファンの期待に寄り添う形となって新規大会が実現したのだった。
会場となる赤城ゴルフ倶楽部は、赤城山の麓に位置し、標高600メートルの赤城高原に展開されている。山間というロケーションだが、自然の起伏を最大限に生かし、雄大で比較的フラットな美しいコースが特徴だ。
シニアの部の平熱枠決定戦では、7アンダーで齋藤義勝(55・芳賀CC)と立山光広(51・ファーストハウジング)が並び、優勝を分け合った。上位7名が本戦へ進出を決めたが、最後の1枠を争ったのは5名が並んだ2アンダーグループ。明日50歳の誕生日を迎える渡邊英治(49・EJ Golf)が見事に出場資格を獲得し、シニアツアーデビューを飾ることになった。
1イーグル5バーディーとし7アンダー首位タイでホールアウトした齋藤は、「パッティングが完璧な入りだった」と胸をなでおろした。スタート10番ホールから、4メートル前後のパットを決められずに緊張が続いていたが、14番パー3で3メートルを沈めると、15番パー4では左ラフから110ヤードのセカンドショットがグリーンをキャッチして、ボールはカップに吸い込まれた。前半9ホールでは、思わぬ形で4つの貯金ができたことで齋藤は気持ちを落ち着けることができた。ハーフターン後の1番パー5ホールでは、2オン2パットでスコアを1つ伸ばし、その後も順調にスコアを重ねた結果65をマーク。開幕戦の平熱枠に続き、2戦連続で本戦出場を決めることができた。
「ISPSさんは、シニアツアーの開幕戦から2戦も試合を用意してくださって、さらに平熱枠決定戦という主催者推薦枠の大会も提供してくれて、感謝しかありません」と、ゴルフできる喜びをかみしめていた。齋藤はシニアツアー参戦6年目を迎え、現在も栃木県にある芳賀カントリークラブの支配人の傍らで、ツアー選手として技術の研鑽を積む日々を送っている。昨年の賞金ランキングは51位。目標だった50位以内には届かなかったが、シーズンを通じて、多くの学びを得ることができた。「シニアツアーでは、素晴らしい歴史を築いてくれた先輩方や、これからの時代を築く後輩たちがいます。私は、(プレーヤーとして)自分の立ち位置を知ることができたいい年でした」。齋藤は回想する。「昨年のハイライトは、福岡シニアオープンの最終日だったかな。伊澤利光さん、マークセンさんと、プロシニアで優勝したばかりの白潟英純さんと最終日同組でね。・・・さすがに1番ホールから緊張して、結果にはつながらなかった。だけど、プロゴルファーとしてツアーに参加することで、多くのつながりが見えてくる。自分の立場をわきまえた上で、これからどんな貢献ができるかとか、シニアツアーが心身ともに充実させてくれた」という。
だからこそ、齋藤は「さすがプロの技だね!と言ってもらえるような、いいプレーをお見せしたい」と胸を張る。「もちろん予選通過して、堂々と上位入りを目指します。毎回ゴルフの質を上げるのは、私たちプロゴルファーの役割ですからね」。ひとつ新たに誓いを立ててていた。
同じく1イーグル5バーディーの65をマークし、平熱枠決定戦をトップタイとしたのが立山だ。
スタートホールの10番パー5では、ティーショットが左の木に当たり、真下に落ちたボールをなんとかしのいでパーセーブし、前半は2つスコアを伸ばすことができた。ハーフターン後の1番パー5は2オンに成功し、1・5メートルのイーグルパットを決めた。その後も4つバーディ―を獲り7アンダーは堂々のトップフィニッシュとなった。
2日前からコース入りし、練習ラウンドを積んできた。実は練習から54ホールを通じてノーボギーだという。「グリーンが素晴らしいです。・・・僕向きに仕上がっていて、本戦でもやりがいがありますよね」と笑みをこぼす。
来月の誕生日でもうすぐシニア3年目を迎える立山は「今年はシードをいただきます」と意気込む。一方で今年の3月に行われた最終予選会では67位という順位で、優先出場資格としてはなかなか厳しい位置にいるのが現状だ(今回は予選会ランキングによる有資格者)。それでも、新規試合が開催されたことについては「熱血枠という予選会も開いていただいて、半田会長に感謝しています。賞金ランキングを上げるチャンスがありますから、いいゴルフを目指すだけです」。いいゴルフの目標は「トータル15アンダー以上」という立山の活躍が楽しみになる。
スーパーシニアの部では、文山義夫(70・柏井Gセンター)が9バーディー1ボギーで8アンダー64をマークし、2位の青木基正(70・フリー)に4打差をつけての圧勝だった。
「実は、今朝到着するゴルフ場をまちがえてしまって、予定より遅れてしまいました。同乗していた仲間のプロに迷惑をかけてしまったのです」と一日を振り返る。スタート前のトラブルに、文山の気持ちも落ち込んだ。「出場したからには、迷惑をかけてしまったプロの分もがんばらないといけない」と、一人気持ちを切り替えた。1番スタートホールから3連続でバーディーを奪うと、6番、9番でもスコアを伸ばし、前半では31をマーク。後半の10番パー4では、セカンドショットがグリーンオーバーしてボギーとするも、続く11番パー5では2オン2パットでスコアを取り返す。13番パー5ではグリーンエッジから寄せてバーディー。上がりの17、18番では長いパットを連続で沈め、64ストロークでホールアウトし、悔しさをプレーで爆発させたのだった。
ゴルフは何が起きるか最後までわからない。「最近はショットが良かった。だけど、心理的に落ち着かない状況で不安はありました。それでも、出だしからボールはピンにしっかり向かってくれて・・・。最後まであきらめず、ベストを尽くそうと気持ちが入りました」。好調なゴルフの裏では、不安な心理戦も繰り広げられていたのだった。
「スーパーシニアの部を開催していただき、本当に有り難く感謝しています。プロゴルファーとして、ゴルフをもっと頑張ろうという気持ちを駆り立ててくれます。今回は、いろんな人の想いを胸に抱きながら、感謝の気持ちを忘れずに本戦に挑みます」と決意をあらわにした。