8ホールにも及ぶプレーオフを終え、原田大雅(フリー・23)はどこか、満足した表情を浮かべていた。8ホール目の18番ホール。景色が暗くなり始めたタイミングだった。先攻して打った原田のセカンドショットは、グリーンエッジを捉えたが、後攻の古川のショットは、ピン方向に放たれるとグリーンをキャッチし、ボールはピン手前10センチまで転がった。誰が見てもOKバーディーの距離だった。原田は素直に「スーパーショットだよ、すごいよ」と、古川に声をかけた。原田はグリーンエッジからの3打目となるパッティングを果敢に攻めたが、結果はカップをオーバーし、この瞬間に古川の優勝が決定したのだった。
原田は過去2回プレーオフを経験している。2回とも勝ちを決めていたので、今回のプレーオフにも自信があった。「今までのプレーオフは、最長でも3ホールだったので、こんなに長いプレーオフは初めてです。悔しいですが、満足もしています。古川さんに素直におめでとういう気持ちです」。冬の寒さの中で戦い抜いた熱い闘いだった。お互いに力一杯に戦い抜いたからこそ、ライバルをリスペクトでき、自然と笑顔もこぼれた。
「自分にはまだ伸びしろがあると思うので、この敗戦も成長していく過程の一つとして前向きに捉えています。このプレーオフの経験は、今後のプロゴルフ人生においても良い経験となりました」。原田の敗戦という経験は、必ずこれからのプロ人生の大きな糧となるに違いない。オフシーズンの間には、「トレーニングで飛距離アップ、さらにアイアンの精度を磨いていきたい」と、自分に誓いを立てている。
今年のファイナルQTでは18位だったという原田。2020年のQTは変則な方式なので、全体順位は180位になる。この順位だと、Abema TV ツアーに数試合は出られる可能性がある。プロ1年目となる2021年シーズンは原田にとって、どんなシーズンになるか楽しみだ。