「日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権~ユニテックスHDカップ2021~」の最終ラウンド。グランドの部(60歳以上)は、グレゴリー・マイヤー(59)がデビュー戦優勝を飾った。16番で15メートルのロングパットを沈めるなど5バーディーで66をマーク。レギュラー、シニアを通じて初の日本タイトルを手にした。
雨の中断が、マイヤーの背中を押した。
3アンダーできた13番パー5。「ここで取りたいと思った」というが、ティーショットを打った時点で雨が激しくなった。12時56分に競技が中断。14時10分に再開された。「2オンを狙えたんだけど、雨でグリーン周りのバンカーに水がたまっていた。入れたら、ペナルティーで出さないといけないかもしれないので、刻んだ。パーだった」と振り返る。
そのパーで火が付いた。「たぶん優勝は6アンダーぐらいと思った。13番取れなかったから、ここから取らないと、と思った」という。15番で80センチにつけた。16番ではピン奥15メートルほどに乗ったが「ラッキーだった」とそれが入って連続バーディー。5アンダーとした。この時点で単独首位に躍り出た。
グランドシニアの2組目でスタート。上がってきてからも4アンダーに多くの選手がいたため、プレーオフに備えて、練習グリーンで1時間ほど待った。並んでくる選手はなく、初の日本タイトルを奪取。「途中で中断したけど、18ホールやれてよかった。今日はあんまり無理しないで、なるべく安全なところに打っていったのがよかった」と振り返った。
グランドシニアデビューの1か月前。ホームコースにしている奥田靖己に誘われて、このコースでプレーした。「あれがなかったら、コースがよくわからなかったと思う。それが大きかったと思います。奥田さんのおかげです」と、ホストプロの奥田に感謝した。
9月29日に日本でいう還暦を迎える。「最近は体のあっちこっちが痛くなる」と苦笑いする。一番気にしているのは「力が入ったスイングをしたりすると、股関節が痛む」という点だ。今日股関節は痛かった?「そういえば、痛くなかったね。いいスイングをしたんだね」と笑った。
「シニアツアーでも続けたらいい。いつでも優勝するのはうれしい。奥さんも喜ぶし」という。続けて「だれも、最後の優勝がどれかは分からないでしょ。この優勝が最後かもしれない。だからうれしい」。でも、これを最後の優勝にする気持ちがないのでは?「そうですね、これを最後にしないようにやっていきます」。今季シニアツアーでは賞金ランク44位(235万円)と低迷している。これが弾みになるかもしれない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)