NEWS
グランドゴールド

〈関東グランド/FR〉東聡が逆転!通算3アンダーで大会初優勝を飾る

2021年04月28日

 箱根湖畔ゴルフコースで28日に行われた

関東プロゴルフグランドシニア選手権大会

の最終ラウンド。強風の影響で全体のスコアが伸び悩んだが、4位スタートの東聡(60)が3バーディー1ボギー70ストローク、通算3アンダーで大会初優勝を飾った。首位スタートの高見和宏(61)はスコアを1つ落とし1打差の2位。9月に兵庫県の宝塚クラシックで行われる日本プロゴルフグランドシニア選手権大会には、有資格者を除いた上位17名が進出する。

 「優勝・・・嬉しいです。本当に嬉しいです」と東はトロフィーを置くと、言葉をかみしめ勝者の時間を味わっていた。レギュラーツアー7勝、シニアツアー1勝を挙げているベテラン選手でも、優勝決定の瞬間は格別のようだ。シニア入りしてから11年が経つ。2013年に箱根湖畔ゴルフコースで行われた「ISPS・ハンダカップ・フィランスロピーシニアトーナメント」で優勝を飾って以来、どれだけ練習を重ねても、なかなか優勝のチャンスが巡ってこなかったが、ようやく8年振りに成果を出す事ができた。

 2番パー5ホールでは、残り215ヤードを4番ウッドでグリーンをオーバーしたが、30センチにつけてバーディー。風の強い前半を1アンダーで終えた。後半の12番パー4ホールは、ティーショットはラフへ。セカンドショットを1メートル50センチにつけたもののパッティングを決めきれずボギー。全体のスコアが伸び悩んでいることはわかっていたので、アドバンテージホールまで我慢を続けた。15番パー5ホールでは、セカンド160ヤードを8番アイアンで7メートルにつけ、70センチのバーディーパットを決める。続く16番パー4は456ヤードの打ち下ろし。ドライバーで残り85ヤードまで運び、4メートルにつけて3つ目のバーディー。最終組の選手がスコアを伸ばしていると想定し、残りの17、18番ホールも珍しく攻めの姿勢を貫いた。スコアは2つしか伸ばせなかったが、最終日のアンダーバーは3名だけという難コンディションの中で、終わってみれば東が首位スタートの高見を逆転、大会初優勝を飾ったのだった。

 

「ずっと自分に悪い癖があることはわかっています。わかっているのに、なかなか治せない。それはメンタルの部分が大きくて、練習では克服できるのに、本番ではスコアにつなげられず、今でも苦しんでいます」と東は胸の内を明かす。「シニアのツアー選手クラスになると技術の部分はそれほど大きな差はなく、気持ちの部分で勝敗が分かれると思うのです。だけど、そこは人一倍練習して乗り越えるのがプロ。練習ができなくなったら、プロとしては引退するくらいの覚悟があります。それは師匠である尾崎将司さんの姿勢を近くで見て学びましたから。師匠より練習しないと、僕なんかには結果はついてこない。シニア選手は全員が優勝しか狙ってないから、強い気持ちがないと勝てない」。東はプロとしての立ち位置を、はっきりと断言した。

 

 2020年シニアツアー賞金ランキング27位で、東は3年振りに賞金シードに返り咲いた。2021年シーズンに備え日々の練習の中で、課題克服に備えつつあると期待していた。しかし、かねひでシニア開幕戦、つづく2戦目のノジマシニアと大会本番で起こる「悪癖」が出てしまい、悔しさばかりが残った。迎えた今週の関東グランド。練習ラウンドでグランドシニア先輩プロから、タイミングやリズムなど自分のゴルフを見直し、プレースタイルを立て直せる手ごたえを感じていたところだった。

 シニアツアー初優勝を飾った箱根湖畔で、2度目の優勝を飾ることができた東は「PGA会員である以上、公式戦のタイトルが獲れたのはプロ冥利に尽きます。プロゴルファーとして『プロはかっこいい、すごいね』と言われることを忘れずにいたい。ただ、年齢も重ねいろんなことに目を向けるのは難しいときもあるので、課題を絞って、もっと上を目指していきたい」と前を向く。そして「こうやってグランド入り2年目で優勝できて幸せです。たくさんの人に支えていただいたおかげです。ありがとうございます」と最後、丁寧に感謝を伝えた。

 今年の関東グランドシニアは新型コロナ感染対策を取り無観客で行ったが、東が願う「ゴルフファンに感動を与える試合」が近いうち披露できることに期待したい。