岡茂洋雄(52)が5バーディー、ボギーなしの67をマークして首位にたった。ドライバーイップスに悩み、この日は2回しかドライバーを使わなかったが、パッティングが好調だった。1打差2位に川岸良兼(54)と鈴木亨(55)の日大同期コンビと堤隆志(59)がつけた。
岡茂のキャディーバッグには、ちゃんとドライバーが入っている。「でも、引っ掛かって出てこないんですよ。根が生えてる」と笑う。ドライバーイップスに悩んで、ドライバーを使う機会はほとんどない。ほとんどのティーショットは3番ウッドを手にする。
そんな岡茂がこの日2回、キャディーバッグからドライバーを「引っこ抜いた」。インスタートの10番で6メートルを入れ、13番で5メートルを沈めた。好スタートがそうさせたのか、13番パー5でドライバーを握り「フェアウエイの真ん中でした」という。第2打でグリーンエッジまで運んでバーディー。その後はまたドライバーに根が生えていたが、インで4つ伸ばし、アウトではスコアが動かなくなっていた8番パー5。「3番ウッドで行こうと思ったら、ドラコン賞があるっていうのが書いてあって…左ラフでしたけど」。ここも第2打でグリーン近くに運んでバーディーを奪った。
ドライバーを打ってもバーディーが取れていますが?「振り切れればいいんですけど、合わせようとするとだめになるんで」という。実は気持ちに変化が出ている。今年5月の全米プロシニアにコロナ禍で隔離期間がある中、思い切って出場した。「向こうに行って、志が少し高くなったんです。海外でいろんなものを見て帰ってきて、ドライバーをやっぱり打たないといけないなと思った。ドライバーを選択していない選手はいませんでしたから。帰ってきてドライバーを打つようにしてみたんですけど、ガチャガチャでより悪化したという感じです」と笑うが、ドライバーを持つ勇気が出てきたのは間違いない。
パッティングが昨年のような感触に戻ったのも大きい。ネットで練習器具を購入。「久しぶりに去年の間隔が戻った感じです。器具で、プッシュする癖がわかって、意識して練習した」という。明るい材料だ。
現在賞金ランク51位にいる。賞金シード権圏内に入るのは「単独3位以上が必要なんです」と自覚している。「首の皮1枚どころじゃないんですけど(笑い)、パター次第かな」。最終戦になって、やっと岡茂らしさが出てきた。
(オフィシャルライター・赤坂厚)