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シニアツアー

【コスモヘルスカップ/FR】細川和彦が歓喜の初優勝を飾る!

2021年11月06日

コスモヘルスカップ シニアトーナメント

」の最終ラウンド。6アンダー2位スタートの細川和彦(50)が、通算9アンダーで首位スタート小山内護(51)とのプレーオフに突入。プレーオフ1ホール目は両者パー。2ホール目に細川がパーとし、シニアツアー初優勝を飾った。1打差の3位には宮瀬博文(50)が続いた。賞金ランクは篠崎紀夫(52)が1位をキープしている。

 通算6アンダーの2位。首位とは1打差で迎える最終日前夜。チーム髙橋のリーダーである髙橋勝成をはじめ、メンバーの寺西明、中山正芳の3人から檄が飛んだ。「勝てよ!」。細川は優勝してメンバーの一員として認めてもらいたい思いが一段と強まった。「勝ちたい!」。

 その思いを実現させる術として前半で首位に追いつく。そのためにリズムを崩さずにプレーをすることを心掛けた。7、9番ホールでバーディーを奪い、小山内を捕らえた。後半も順調にスコアを伸ばし続け、15番パー5ホールでのバーディー奪取で通算11アンダーとした。2位の宮瀬博文に1打差、小山内には3打差を着ける。

 シニア初優勝へ大きく近づいたように思われたが、試練が待ち受けていた。17番パー3ホールではショートパットを外してボギー。18番パー4ホールでは、安全を期して3番ウッドで放ったティーショットがフェアウエイ左のバンカーに捕まる。ボールは足跡の中、それもかかと部分に深く沈んでいるという不運。「やっぱり勝ち運がないのか」。

 北海道ブルックスシニアでのプレーオフ。会心のティーショットがディボット跡を埋めたターフの上に乗っていたことでパーオンを逃し、深堀圭一郎に敗れた。その記憶が蘇ったのだった。

 結局、連続ボギーでのフィニッシュで小山内と並んでの通算9アンダー。首位の座を分け合い、プレーオフ決戦となった。「絶対勝てよ!」。細川の右肩をポンと叩いて、そう声を掛けてくれたのは、寺西だった。(応援してくれているんだ。負けられない。このチャンスをつかみ取ってみせる)。細川は嬉しさとやる気が込み上げて来た。

 18番パー4ホールで行われたプレーオフ1ホール目は、パーで分け合い、同2ホール目のティーショットを小山内は左へ大きく曲げた。立ち木そばだったことから2打目をレイアップ。3打目でグリーンに乗せる。細川はパーオンし、5メートルのバーディーパットを沈められなかったが、パーパットをタップイン距離とした。小山内のパーパットが決まらず、細川がウイニングパットを入れた。両手を高く突き上げてのガッツポーズ。待ちに待った瞬間だった。チーム髙橋のメンバー全員が祝福駆けつけ、歓喜のウォーターシャワーを浴びる。中山が涙を溜めていた。それを見た途端、細川の涙腺は決壊した。歓喜の男泣き。2005年の日本ゴルフツアー選手権以来、16年ぶりとなるツアー優勝の喜びを、人目を憚らず大泣きで表した。

 「開幕戦3位タイと上手くスタートできて、ツアー生活を楽しみなら過ごして来ましたが、勝ちたい思いが強まって来ました。ベストテン入りを続けて、周りからもそういう目(優勝して当然)で見られて…。勝てて本当に嬉しいです」。

 レギュラーツアー時代はトップ選手として活躍していたものの、難病を患って第一線から退かなければならなかった。再びツアーで戦えることを目標に闘病して来た経緯がある。幸いにも新薬が開発され、細川はツアーの舞台に立つことが来た。感謝。努力。精進。「本来なら日本を代表する選手として活躍できたはずです。病と戦いながら、こうしてシニアになって、ツアーに戻り、そして優勝できた。その喜びは計り知れません」。髙橋勝成は細川の思いをそう代弁した。

 賞金ランキング3位となった細川は、最終戦で逆転でのシニア賞金王奪取の可能性を高めた。今季残り一戦で、再び歓喜の涙を流すチャンスを作り上げた貴重な、そして細川にとって忘れられない一勝だ。

(オフィシャルライター 伝昌夫)