「ISPSハンダ グレートに楽しく面白いシニアトーナメント」が、22日から3日間、福島・五浦庭園CC(シニア6896ヤード、スーパーシニア6143ヤード、ともにパー72)で行われる。前週の佐世保シニアで今季3勝目を挙げた井戸木鴻樹(59)が、レギュラー、シニアを通じて初めて「賞金ランク1位」として大会に臨む。
「自分が知っている限り、賞金ランク1位で大会に臨むなんていうのは初めてですわ」。
井戸木はそう言って笑う。気分がいい?「いいですよ。賞金王取りたい、という気持ちで残り4試合、その気持ちが自分のプレーにどうつながるか、楽しみです」という。
先週の佐世保シニアで3勝目を挙げて2302万2736円とし、約240万円差で田村尚之を押さえて賞金ランク1位に立った。1982年にプロ入り84年からレギュラーツアーに出場し始めてから37年余のツアー生活で、初めて「賞金ランク1位」の肩書で登場する。
「楽しみ」というのは、13年全米プロシニアを制して以降の、自身のプレーぶりにある。「全米という大舞台で勝って、日本では1つも勝たれへん。つらすぎた」と振り返るように、今年7月のISPS HANDAで勝つまでの自分自身のことを一番知っている。「肩の荷が下りて、それからは負けても、惜しかったな、ぐらいに思えるようになった。気持ちの余裕がいい展開になった」と、この4カ月で3勝。「賞金王を取りたいという気持ちが出てきたら、今度はどんなプレーになるのか」というのが「楽しみ」になる。
もう1つの楽しみ。この大会は公式戦以外ではシニアツアーで唯一予選カットがある。ISPSのインターナショナル・アンバサダーを務め「ホストプロ」の立場としては、昨年予選落ちをしているこの大会で「予選通過が最低限。予選さえ通れば、優勝のチャンスがあると思う」という。復調のきっかけとなった7月のISPSの試合では6打差の大逆転勝ちでホストの役割を果たしている。
コースの印象を聞いた。「ショット的にはいつもと変わらんのやけど、グリーンの傾斜が強い。フェアウエーが湿っていて転がらないので、距離の割には長い。たぶんスコアは団子になると思う。バーディー合戦、ハイスコアにはならないでしょう」と予測する。
「皆さん、僕のゴルフは曲らん、飛ばん、正確できっちり、というふうに思っているかもしれないけど、結構荒れるんですよ。特にグリーン上、パターが暴れる。暴れ出したらどうにもならん。ホンマに、これ(1メートル弱)が全部入らんから」と手を広げ「でも、何をしでかすか分からないのが今のゴルフ。暴れた次の試合ではポコポコ入ることもある」。そんな展開に持ち込めれば「賞金ランク1位」を続けていける。
(オフィシャルライター・赤坂厚)