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シニアツアー

【コマツオープン/FR】清水は最後まで戦い抜くも2打及ばす2位

2021年09月11日

 最終18番パー5ホール。惜しくもツーオンを逃し、グリーン左サイドからの3打目をピンそばに着けた選手が、リーディングボードに釘付けとなった。順位と選手名、スコアを入念に確認しているようだった。

 バーディーパットを沈め、同組選手とグータッチを交わし、スコアカード提出所へと歩を進める。その選手の名は田村尚之。提出所から出て来た田村に尋ねた。「シニア初優勝を祝うウォーターシャワーの準備をしますか?」。田村は歩を一瞬止め、再びリーディングボードを見ながら話し始めた。「14番ホールを終えて2位とは1打差。まだアゲンスト風の15、16番ホールが残っていますからね。そこを無事にクリアーしないと安心できないかな」。ツアー転戦や練習ラウンドを共にする清水洋一を思っての言葉だった。

 田村の負の予想は的中した。16番パー3ホールで清水がボギーを打ち、井戸木鴻樹がバーディーを奪ったことで首位と2位が交代する。清水が1打差を追う試合展開となったのだ。17、18番ホールと井戸木が3連続バーディーで締めめくり、清水はシニアツアー入り以来7度目の2位で大会を終えた。

「有言実行と言えば、少しは格好がつくかな。スタートホールから3連続バーディーを奪えましたが、ショットがピンに絡んだからというよりも5、6メートルのパットがうまく入ってくれたお陰です。井戸木さんは、やっぱり上手いし、粘り強くパーをセーブし、チャンスでバーディーパットをきちんと決める」。

 表彰式後、労いの言葉を掛ける先輩プロらに向かって「すみませんでした」と清水は頭を何度も下げながら、取材に受け応える姿が18番グリーンサイドにあった。

 「やっぱり16番パー3が勝負の分かれ目でしたね。井戸木さんのティーショットはガードバンカーに捕まってボギーピンチでしたが、そこから超絶妙のバンカーショットでチップイン・バーディー。僕は10メートルのバーディーパットを下りラインながら2メートルもショート。パーパットはカップ縁にまたまたショートしての3パット。バーディー&ボギーで形成逆転され、そのまま押し切られちゃいました」。

 それでも最終ホールではツーオン逃しからのバーディー奪取で単独2位の座には就いたのだ。「また、2位!って感じですね(苦笑)。次、頑張ります」。勝負どころの肝心のパットで2度もショートしたことが悔やまれる。「緩んだインパクトがすべてです」。悔しさを隠していた笑顔が、真顔に変わった。次の優勝チャンスこそ、しっかり仕留めて喜びのウォーターシャワーを全身で浴びる姿が見たい。