前半アウトコースの4番パー4ホールで3つめのバーディーを奪った手嶋多一だったが、6番パー4ホールでボギーを打ってしまった。「3バーディーを取った時に、今日はビッグスコアが出るかなと思ったんですよ。でもボギーが来てしまったので予感はハズレたかなと」。
だが、後半インコース10番パー4ホールでのバーディーパットが決まって、手嶋のビッグスコア劇場の幕が上がる。13番ホールからの3連続バーディーと17、18番ホールでの連続バーディー奪取で6バーディーを量産。9バーディー・1ボギーの64をマークして30位タイから通算7アンダー・3位タイに急浮上。首位と1打差で最終日を迎える。
「今日はパットが滅茶苦茶入ってくれました」と満面笑みで答えている手嶋を見かけた奥田靖己が、囲み取材の輪に加わり、茶々を入れ出した。「今日はよく入っただろ。ジャンボ(尾崎)さんか手嶋しかいないよ、日本一パットをガツンと打てる選手は、ね。あれだけのカップオーバーのパットを打てるからには、相変わらず5パットをすることもあるんだろ?」と奥田。「5パットは無くなりましたけど、4パットは年に1、2回しているかな」。手嶋は苦笑い。
この日のゴルフを振り返って「パットだけでなくショットも良かったですね。ショット、パットがかみ合ってのスコアです。このところゴルフの調子は良くなく、レギュラーツアーに出ても1、2打及ばずの予選落ちばかりで、正直そんなに(優勝する)自信なんてありません」と解説してみせた。
しかし、シニアツアーでは「予選カットのないトーナメントもあり、予選落ちを考えずにガンガン攻めて行けます。先週は日本オープン最終予選に出て、フジサンケイクラシックにも出場し、今週はシニアツアーですから試合勘を切らさずにいられるのは大きいですね」。今季自己ベストスコアの64は自信につながるはずだ。「いいゴルフしても、翌日もとなると、それが続かない。理由は気持ちだと思います。消極的なところが出てミスが増えてしまう。でも今日はわざとドライバーで積極的に攻めた結果です。明日も気持ちだけでも攻めて行きたいです」。明日のラウンドでドライバーを何度手にし、フェアウエイをキャッチできるか。その回数が勝利の扉をこじ開けるカギになる。