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シニアツアー

【コマツオープン/1R】全英シニア帰りの中山正芳が4アンダー4位につける

2021年09月09日

「練習量を抑えるようにと言っても、きっとショット練習を繰り返すでしょう。せめてアプローチやパット練習を多くしたらいいんですけどね」。チーム髙橋のリーダーであり、師匠の髙橋勝成は、全英シニアオープンから帰国する中山正芳を思ってそう話していた。中山にとって初の世界メジャー戦出場結果は通算6オーバー・46位タイ(70・75・71・70)だった。

 コロナ禍によって帰国後、2週間の自主隔離を終え、ようやくシニアツアー再参戦できる。自宅からトーナメント開催地へ旅立つ日のことだった。旅支度を整え、荷物を持って玄関へ向かおうとした時、雷に打たれたかのような激痛が腰に入った。ギックリ腰。時間が経つに従って容態は悪化して行く。這ってトイレにすら行けない。救急車を呼び、病院へと向かったのだった。師匠の予言は的中した。

 「渡英の往復で何十時間も飛行機に乗ったのも、救急車に乗ったのも人生初でした」と中山は本気半分、冗談半分でそう話した。世界メジャー初参戦で得たものがある。「トップシニア選手でも、ゴルフを何十年もして来ても、基本を大切にしていることでした。パットグリーンでジム・ヒューリックや(ミゲル・アンヘル)ヒメネスらがラインを引いてパット練習を2時間も行っていました。地道な練習を黙々とですよ」。

 自主隔離によってホテル缶詰め状態の2週間。狭い部屋でパット練習をしながら様々なグリップを模索し、クロスハンドグリップに辿り着いた。ギックリ腰に見舞われたのは想定外だったが、自身の帰国第1戦となったマルハンカップ太平洋シニアでは通算4オーバー(75・73)の48位タイ。「腰の具合は良くありませんでしたが、クロスハンドグリップでのパットは良かった」と好感触を得て、コマツオープンを迎えた。その第1ラウンドで中山は4連続バーディーを含む5バーディー・1ボギーの68で回り、4位タイ発進を遂げたのだ。

「出だしホールでOBを打ってのボギーですから、変な表現かも知れませんが5連続バーディーですよ(笑)」。前半9ホールのパット数は10。後半9ホールはパープレー終わってスコアを伸ばし切れなったが、「ショットは右へ左へのパランパラン、でもクロスハンドでのパットが良く入ってくれました。最高のスタートが切れました!」と中山は素直に喜ぶ。腰のケアは湯船に40分ほど浸かった後、マッサージ機で揉み解す。筋肉疲労を蓄積させるのはもちろんだが、動かさないのも良くないのだという。「腰をかばわずに打てるようになれば…」。好調パットをショットが噛み合えば優勝争いに加わって行ける。

 中山は、第1ラウンドのホールアウト後、案の定、練習場へ向かい、パットグリーンで多くの時間を費やしたのだった。ギックリ腰の功名でシニア2勝目を手にできたら最高だ。