今季シニアツアー第9戦「コマツオープン2021」が、石川県小松市にある小松カントリークラブで9月9日から11日の3日間開催される。前回覇者のタワン・ウィラチャン(54)をはじめ髙橋勝成(71)、倉本昌弘(65)、芹澤信雄(61)、伊澤利光(53)、深堀圭一郎(52)といったシニアプロ72名、アマチュア2名が参加。試合は無観客大会として行われるが、2年振りに小松の熱い戦いが戻ってくる。
コロナ禍によって昨年大会は開催中止となり、今年は2年ぶりの開催となったコマツオープン。19年大会覇者はプラヤド・マークセンとのプレーオフ決戦を制したタワン・ウィラチャンだ。今季は第3戦の「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」で優勝を遂げ、シニアツアー通算3勝を飾って、目下、賞金ランキング1位の座に就いている。この秋からの陣でどれだけの成績を残すかが2年連続のシニア賞金王タイトル奪取への大きなカギとなる。大会2連覇で弾みを着けられるか。
練習ラウンド日のこの日、ウイラチャンは雨が降りしきる中、たった一人で18ホールを回り切った。マークセンと盧権順と回っていたが、二人は3ホールで練習ラウンドを打ち切り、クラブハウスに戻ったのだった。「コースのコンディションは相変わらずベストの状態ですね。僕の調子はワーストなのに…」。暗い表情を浮かべた。今年5月のレギュラーツアー「ダイヤモンドカップ」に出場した際、ラフからのショットで左手首を痛めた。その左手首痛が3カ月以上経った今でも治らない。
「ダウンスイングやインパクトで痛みが強烈に走る。思ったようにボールをヒットできないからショットは右にも左にも飛んで行ってしまう。今日は雨だけど、まるでワイパーのようにね。イメージしたショットラインに打ち出だせない。辛いです」。
ラウンド前後には左手首のアイシングを施し、鎮痛スプレーを吹きかける。完治の見込みは未だに無い。「タイの自宅に帰りたい気分ですよ。でも、ディフェンディングチャンピオンの誇りもあるし、ゴルフはプレーしてみないと分からないことも多い。明日10アンダーをマークできるかも知れないしね」。
アジアンツアー賞金王タイトルを2度奪取し、20年シニアツアー賞金王に輝いたウイラチャンだからこそ、「ゴルフは何が起こるか分からない」ことを知っているに違いない。奇跡は起こるのではなく、起こすものだと百戦錬磨の前回大会覇者は自分に言い聞かせているようだった。