レギュラー、シニア未勝利の森田徹(51)が6アンダー66をマークし、倉本昌弘PGA会長(65)とともに首位に立った。インスタートの森田は10、11番連続バーディーでスタートし、6バーディー、ボギーなしのゴルフだった。河村雅之(54)、秋葉真一(56)が1打差3位で続いている。3打差以内に10人がいる混戦になった。
「あこがれの舞台」で、森田のショットがピンに絡んでいった。
この大会初出場。インスタートの10番で1メートル、11番で1.5メートルの連続バーディーでスタートした。17番で2メートル、18番でも1.5メートルの連続バーディーで折り返した。3番では1メートル弱、8番でも2メートルと、6バーディーは全て2メートル以内、いわゆるピンを刺して行った。このコースで、まだボギーなしだ。
レギュラーツアーの「三井住友VISA太平世マスターズ」の舞台となっているこのコース。「レギュラー時代は1回も出られなかった」と、少し照れたような笑顔を見せる。昨年から太平洋クラブ御殿場コースでこの大会が行われているが、森田は今回初めて。「あこがれの舞台で、シニアになってやらせてもらえて光栄です」と続けた。
この日はショットが好調だった。「ゴルフって分からないものです」という。先週のファンケルクラシックでは第1ラウンドで81をたたいた。60位で大会を終えた後「高橋勝成さんからアドバイスをもらいました」という。内容は優勝できるまで秘密というが、この日の66に確かに効いたアドバイスだったのだろう。
13歳の時に遊びで打った9番アイアンのショットに魅せられて、ゴルフを始めた。千葉の成田高校卒業後、成田市内の練習場でアルバイトをしていた時に、欧州シニアツアー賞金王にもなった海老原清治に「その飛距離じゃプロで通用しない」と、竹ぼうきを振るように言われ、今でも続けているという。
26歳の時に5回目のプロテストに合格。しかし、レギュラーツアーの壁は厚く、チャレンジツアーでは2勝しているが、1度もレギュラーツアーのシード権は取れなかった。首位スタートの気分を聞かれて「チャレンジツアーでは何度も最終日最終組で回っているんですけど、勝ったのは2つとも逆転勝ちなんです」と、ちょっと複雑な表情をみせた。
その最終日最終組。首位に並んでいるのは、レギュラーツアー30勝、シニアツアー8勝の倉本PGA会長。「回るのは初めてです。永久シード選手ですし…」と、ちょっと臆するところもある。でも、森田には目標がある。「結果で高橋さんに恩返ししたいんです」。実績ではもちろんかなわないが、気持ちでは負けられない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)