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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC前日〉大ベテラン中嶋常幸「ファンケルの熱い想いに応えたい!」

2021年08月19日

 シニアツアー第7戦「

ファンケルクラシック

」が20日から22日までの3日間、無観客で2年振りに静岡県の裾野カンツリー倶楽部で開催される。「シニアの元気が日本の元気!!」をスローガンに掲げ、シニアプロ72名、アマチュア6名の78名が戦いに挑む。中嶋常幸(66)、髙橋勝成(71)、倉本昌弘(65)、室田淳(66)といったベテラン勢や、地元静岡出身の芹澤信雄(61)、前回覇者のプラヤド・マークセン(55)といった注目の選手が出場する。大会期間中にシニアプロが記録した総バーディー数に応じて、ファンケルサプリメント「免疫サポート」を静岡県内の医療従事者に寄贈するという新しい取り組みにも注目が集まる。

 中嶋常幸が、富士山の麓で久々の笑顔を振り撒きながらプレーを楽しんだ。明日から開催される「ファンケルクラシック」に向けて、この日はプロアマ大会が行われた。アマチュアとの親睦を深めながらのラウンドで試合感を取り戻そうとしているようにも見えた。 昨20年はコロナ禍でシニアツアーでも大会開催延期や中止が続き、開幕戦を迎えたのは7月下旬だった。開幕戦の日程が決まったその7月に中嶋は右肩痛に見舞われた。懸命の治療とリハビリを続けたものの、開幕戦には間に合わなかったどころか、まともにゴルフが出来るようになるまで1年の月日を費やしたという。この大会は中嶋にとって2年ぶりのシニアツアー出場であり、今季開幕戦なのだ。

 「シニアの元気が日本の元気!!」をスローガンに掲げたファンケルクラシックは、大会を通じてシニアの元気を応援することで社会に貢献している。今大会はコロナ禍によって残念ながら無観客試合で開催されるが、回を重ねるごとにギャラリー数は増え、2010年大会では3日間で2万2135人を数えた。それ以降、毎回ギャラリー2万人越えを続け、18年大会では国内シニアツアー記録となる2万5214人の記録を樹立している。

 大会開催を心待ちにしているゴルフファンに変わって、ファンケル(大会主催企業の)社員3000人が出場選手に向けた応援メッセージを作成。それを手にした切手大の写真をモチーフにして作り上げられた大きなメッセージボードが練習グリーン脇に設置された。それを隅から隅まで目を通し、左サイドに掲示された応援メッセージを読みながら「大会を支えている方々だよね。マンパワーを感じるね。嬉しいね、自筆の文字は温か味がある。この大会は裾野市に根を下ろし、シニア選手のことをずっと思ってくれている。有難い。その熱い思いに応えたい。今年こそは、頑張ります」と中嶋は話した。

 プロ・アマ・シニアで日本タイトル7冠、ツアー通算48勝、シニア通算5勝、永久シード獲得、2019年には日本プロゴルフ殿堂からプレーヤー部門で顕彰されるなど、数多くの記録と実績を残している中嶋だが、ファンケルクラシックでは、なぜかまだ勝利の美酒を味わっていない。「ゴルフ(試合)をしていないからね…。でも、そこは持って生まれたというか、プロゴルファーの闘争本能に期待しているよ」。

 20回目を迎えた同大会では、大会期間中にシニアプロが記録した総バーディー数に、20回大会にちなみ20倍した数のファンケルのサプリメント「免疫サポート」を静岡県の医療従事者に寄贈する。シニアプロの活躍を通じて医療従事者を支援する取り組みだ。「コロナ感染第5波によって緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域が拡大されたり、期限が延期されたりしている中、万全のコロナ対策をしたなら試合は開催される。だからこそ、選手たちは皆、ベストを尽くして少しでも医療従事者の支援に役立ちたいと思っている。(病み上がりだから)パー(セーブ数)にしてくれたら」と言って苦笑い。そして中嶋は「とにかく完走するから!」と力強く言い切った。

 この日の午後もまたスコールのような雨が何度も降ったが、最後は青空が広がった。大会の成功を暗示しているようだった。

(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)