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シニアツアー

【モア サプライズカップ2021/FR】プレーオフに敗れた細川は悔しさを糧に「年内中、優勝を目指す!」

2021年07月30日

 最終日最終組で回っていた通算6アンダーの首位タイ細川和彦が、18番パー4ホールの2打目をグリーン手前にショートした。細川が「師匠」と慕う高橋勝成と、チーム髙橋のメンバー寺西明がグリーン脇で見守っている。寺西の足元にはシニア初優勝を祝す「ウォーターシャワー」のためにミネラル水のペットボトルが2本横たわっていた。

「昨日の夜、細川君と一緒に食事をしましたが、『優勝しないとチームの正式メンバーの格上げしないよ!』って激を飛ばしたんですよ。彼はゴルフに対して真摯に取り組んでいるし、素晴らしいスイングの持ち主ですから、もっともっと活躍していい選手だと思っています」。細川の3打目アプローチを見守りながら、師匠・高橋は弟子に期待する思いをそう口にしたのだった。

 細川はパターでカップに寄せ切り、パーをセーブ。通算6アンダーで先にフィニッシュしていた深堀圭一郎とのプレーオフ決戦に臨んだ。その1ホール目、細川はフェアウエイセンターをキャッチし、ボール地点へ歩を進めた。ピンをデッドに狙ってバーディーチャンスを作ってみせる。師匠との約束を果たさなくては……。

 2打目はピンまで残り183ヤード。左足下がり。7番アイアンを選択した。が、しかし、モチベーションは低かった。「3番ウッドで完璧なティーショットを打てました。だけど、運がなかった。ディボット跡を埋めたターフの上にボールが乗っていたのです。それを受け入れるしかありませんでした。仕方ありません」。全身全霊を込めた2打目だったが、ターフごとダフったようなインパクトとなり、ボールはグリーン右手前にショート。3打目のアプローチショットは「ファーストバウンドが思っていた以上に左に跳ねてしまいました」(細川)。

 深堀はパーオンに成功し、ファーストパットをピン手前1メートルに寄せていた。3ヤードほどのパーパットのラインを細川は入念に読んだ。スライスライン。イメージどおりに打ち出せたボールはラインに乗り、カップへと向かう。(入る!)と思った瞬間、ボールはカップの縁を舐め、そしてグリーン上に止まった。ボールがカップの底を眺めているように見えた。しかし、カップインすることはなかった。タップインしてのボギーフィニッシュ。深堀がパーパットをしっかり沈めてプレーオフ決戦に幕を下ろした。

「悔しいですけど、仕方ないですね。次です、終わったことは忘れて次、頑張ります」。潔い敗者の弁。不運だったプレーオフ2打目に関しては「(ターフの上のボールを)うまく打つのもプロですし、タラ・レバはゴルフにはつきものですから…。あのボールのライも、最後のパーパットがカップ縁に止まったのも運だと思います」と淡々と答えた。

 シニア初優勝を実現できなかったことでチーム髙橋の正式メンバー入りは先送りになってしまった。反省はしても、後悔は引きずらない。「ゴルフ場を出たら忘れる。その切り替えがチーム髙橋のメンバーは皆、上手いなと感じています。人生50年、ゴルフを始めて35年、色々あります。でも、いろんなことがあるから練習するし、調子いい時よりも悪い時の方が多い。もがきながら乗り越えて行かなくてはならないんですよね」。

 次戦のファンケルクラシックまで3週間のオープンウイークを迎える。どんなライからでもうまく打つプロを目指して練習を積み重ねる。「ファンケルでまた暴れます、また優勝争いしたいです」。細川は力強い言葉を残してクラブハウスを後にした。

 ウォーターシャワーには、まだ早すぎたのだろうか。「彼は頑張りましたよ。これで正式メンバーです」。プレーオフ直後、師匠・高橋がそう口にしたことを伝えたい。