シニアツアー6戦目「
北海道ブルックス MORE SURPRISE CUP
」の最終ラウンド。5位スタートの深堀圭一郎(52)がスコアを3つ伸ばし138ストローク通算6アンダーで首位に立つと、最終組で回ったシニアルーキー細川和彦(50)も6アンダーで深堀に並びプレーオフへ。1ホール目、細川はパーパットを決められず、深堀に軍配が上がった。アマチュアの部では高橋雅也さん(50)がベストアマに輝いた。深堀はシニアツアー参戦24試合目で、嬉しいシニア初優勝を縁のある北の大地で飾った。
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通算6アンダーで首位に並んだ細川和彦とのプレーオフ1ホール目。深堀圭一郎は1メートルのウイニングパットを沈める。すぐに帽子を取り、18番グリーンを取り囲んで見守っていた先輩プロたちに向かい「ありがとうございました」と、自然に言葉が溢れ出てきた。
レギュラーツアーでは2003年の日本オープンをはじめ、通算8勝を挙げている深堀は2019年にシニアツアー入りし、同年にシード権を獲得。シード選手として参戦しているが、シニアツアーでは未勝利が続き、2005年のANAオープン以来、ツアー優勝から遠ざかっていたのだった。
「ツアー8勝ながら、優勝することの難しさは自分なりにわかっています。勝つ順番が巡って来るというか、そのチャンスを待つしかないと思っていました。もちろん、そのための準備は整えておかなければなりませんし、普段の練習も積んで置かなければいけないと考え、実践はしてきたつもりです」。これまで何度も初優勝チャンスはあったが、取りこぼしていた。20年のいわさき白露シニアでの3位が最高成績だった。
勝ちたい!初優勝を遂げたい! 目標実現のために深堀はパット不調克服を課題に掲げ、様々な工夫と練習をして来た。パターヘッドがスムーズに動かせるように左肘を以前よりも曲げて構えるようにし始めた。「両腕を伸ばして三角形を作るような構えから五角形にするセットアップ」(深堀)によって、イメージどおりのストロークが出来るようになったという。さらに長年使い続けて来たパターを日本プロゴルフ選手権の2週間前、6月中旬に替えた。「センターシャフトモデルで、感触の良いパターと久しぶりに出逢えた!というのが第一印象でした」。パターと構え方を変更したことでパットが復調し出した。もともとショット力に定評がある深堀にプレーの「死角」が無くなったのだ。
7月の日本プロゴルフ選手権で早速、結果を出した。決勝ラウンドに駒を進め、4日間プレーしてシニアプロながら若手選手を尻目に9位タイの好成績を挙げる。
そんな経緯で迎えた北海道ブルックス モアサプライズカップ。深堀は初日4バーディー・1ボギー69で回り、3アンダーの5位タイに着けた。首位とは2打差だけに翌最終日のプレー次第では逆転できる好位置だった。
深堀は北海道でのトーナメントもプレーオフも得意だった。ツアー通算8勝中、北海道で3勝を挙げ、プレーオフは2戦2勝。この地でプレーオフとなれば「勝てる!」自信が心の奥底にあったように思えてならない。
最終日。「5バーディーを奪い、通算8アンダーにスコアを伸ばしたなら逆転の可能性はある」。深堀は前半で2バーディー・ボギーフリーの34で回り、後半に入った。10番ホールでのバーディーでさらにスコアを伸ばし、迎えた14番パー4ホール。風向きが読みづらく、前日はボギーを叩いたホールを迎える。「リベンジだ」。難ホールをうまく攻め切ったならチャンスがやって来る。ティーショットではフェアウエイ右サイドのレッドペナルティーをしっかり避け、2打目をピン2メートルに着けてバーディーをもぎ取った。「昨日は計2回もレッドペナルティーに捕まっていましたからね」。
だが17番パー5では「5バーディー奪取」の欲もちらつき、ティーショットをレッドペナルティーに餌食にしてしまう。「2メートルのパーパットを外したのは辛かったかな」。それでも最終18番パー4ホールをパーセーブし、通算6アンダーでフィニッシュ。クラブハウスリーダーとなって最終組のホールアウトを待った。
最終組の細川和彦も通算6アンダーで回り、勝負は18番パー4ホールでのプレーオフに持ち込まれたのだった。同1ホール目、細川がパーオンを逃し、パーパットがカップ縁に止まり、ボギーでフィニッシュ。パーオンしていた深堀が2パットでのパーセーブでシニア初優勝を飾ったのだった。
「(レギュラーツアー3勝の)縁を頂いた北海道でシニア初優勝が出来たのが何よりの感謝です。先輩シニアプロの方が努力し、(大会主催者)京楽さんと縁をつないで開催されたトーナメントですから、そういう先輩にも感謝しかありません」。
16年ぶりに、北海道で4度目となるツアー優勝を飾った深堀は、派手なガッツポーズではなく「ありがとうございました」と心からの感謝を表現した。勝利の美酒の味を思い出した深堀がシニアツアー後半戦でどんな活躍をするかが楽しみになって来た。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)