通算7アンダー単独首位からスタートした谷口徹は、5アンダー・67でフィニッシュ。大会2日間で1ボギーと相変わらず好調なゴルフを持続し、首位の座を守り、シニアツアー通算2勝目に大きく近づいた。
「スタートホールで、お腹が痛くて、痛くて……パットを早く終わらせたいと思ったら1メートル(のバーディーパット)を外してしまった。(腹痛は)慣れない順位で久しぶりに 回ったから緊張して」と谷口は出だしの「トラブル」を笑い話にしてみせた。精神的な余裕がある。
「もう少し伸ばしたかった。(バーディー量産だが)カップに近いパットばかりだったので、伸ばせた実感はないですね。最長でも3メートルくらいだっただけに、もう少しバーディーを獲りたかったなと思う。そうは、うまくいかなかったですね」。最終日も万全なゴルフができる手応えを谷口は持っているようだ。しかし、それでも不安材料が、この日は目の前に存在した。最終組の同組で回ったタワン・ウイラチャンだ。
「メチャクチャ上手いのでヤバいです。日本シニアオープンでも(最終組同組で)ラウンドしましたが…。あの時も手強くて、気合で抑えましたけどね。そりゃ(前週の試合で)勝つよなと思いましたね」。単独ではなく、首位に並んだウィラチャンとの一騎打ちになることを谷口は確信したに違いない。「好位置だけに優勝したい気持ちはありますけどね。まずはアウトコースで(スコアを)伸ばしていきたいと思う」。サンデーバックナインを迎える前に、1打でもその差を広げておく。それが谷口の勝利へのゲームプランだ。
一方、前日と同じ6バーディー・66をマークし、通算12アンダーにスコアを伸ばして首位に並んだウィラチャンは、無欲を強調する。「こうして来日することができて、ゴルフができるだけでも幸せです。先週、優勝できたのが本当に信じられません。今週も勝つなんて考えたこともありません。今日は結果的に首位には並びましたが、谷口さんは上手かったです。ショットがビタビタ着いていましたからね。ただ、バーディーパットが入らなかっただけです」。スコアで並んでも、そのゴルフ内容は谷口が上回っていたとウイラチャン自身は分析している。
「最終日は、自分のゴルフに徹するだけです。誰が勝つかはゴルフの神様だけが知っていますよ」とニコリと微笑み、ウィラチャンはクラブハウスを後にしたのだった。
互いに「上手い」と評する首位に並んだ谷口とウイラチャン。最終日、ハイレベルの戦いが繰り広げられるのは必至だ。