AbemaTVツアー「太平洋クラブチャレンジトーナメント」、シニアツアー「すまいーだカップ シニア」そして「スターツシニア」と3週連続、3連戦を熟して来た伊澤利光が、3戦目に優勝チャンスを作り上げた。
前日は1アンダー・21位タイと出遅れ気味だったが、この日は8バーディー・1ボギー65をマークし、通算8アンダー・5位に急浮上。首位とは4打差で最終日を迎える。
「(逆転優勝のために)明日も7、8アンダーのスコアは必要でしょう。そのためにも今日以上のプレーをしたいですね」。伊澤は淡々と答えた。気負いのなさを感じさせる。
唯一のボギーとした17番パー3ホールは、ティーショットでグリーンを捕え切れず、ボールは小さなくぼ地に止まった。ライの悪さから寄せ切れず、2メートルのパーパットを外したのだった。しかし、最終18番パー5ホールではツーオンに成功し、イーグル奪取は逃したものの、楽々バーディーで締めた。「ショットは相変わらず好調ですね。昨日のスコアは、パットのラインが良くなかっただけで、今日は上りだったり、曲がり度合いが少なかったりとやさしいパットラインでしたから」。
この3連戦の初戦からクラブセッティングを変えた。5番ウッドと3番アイアンの代用クラブとしてロフト21度のユーティリティークラブに変更し、クラブ1本減らした分をウェッジに充てた。具体的にはロフト46、50、54、58度の「4本」態勢にしたという。「ショットのスピン量が多いタイプなので、以前のウェッジ3本では(ロフト)51度だと大き過ぎたり、58度だとバックスピンが効き過ぎて戻ったりすることがありました。ウェッジ4本にしたことで距離の感触が良くなり、110や120ヤードとか、130ヤードのラフからのショットも(距離感の)苦労は減り、バーディーチャンスが増えました」。ウェッジ4本の飛距離目安はロフト46度が135ヤード、50度120ヤード、54度105ヤード、58度90ヤードだという。
空梅雨で晴天が続き、グリーンは硬く引き締まっている。「ボールが戻ったり、ピンをオーバーしたりする心配がない」分だけ、ピンを果敢に攻められる。「ドライバ―もアイアンショットも良かったし、パットは入りまくっていました。まったく危なげないゴルフの一言。僕のドライバー飛距離は270ヤード目安ですが、いつも30ヤードは置いて行かれていました。羨ましかった」。同組でラウンドした河村雅之は伊澤のゴルフをそう評した。
3連戦の試合は、いずれも3日間大会。試合の流れ、運び方、そしてウェッジ4本での攻撃ゴルフの手応えも掴んで迎える明日の最終日。伊澤は2019年に挙げたシニア初V(福岡シニアオープンゴルフトーナメント)以来の通算2勝目もしっかり視界に入れているに違いない。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)