大会初日は3アンダー・8位タイだった細川和彦が、2日目に「発奮」プレーを繰り広げた。ボギーフリーの6バーディー・66の好スコアをマークし、首位とは3打差の単独4位にジャンプアップした。前日、同組で一緒に回った65歳の倉本昌弘から発破を掛けられていた。「50代なんだから、(ツアーをもっと盛り上げるためにも)頑張れ!」。この言葉はシニアルーキーとしてツアーに臨んでいる細川を奮い立たせたのだ。「励ましの言葉を頂いて、今日はいつも以上に気合いが入りましたよね、やっぱり」。細川は前半でスコアを四つ伸ばし、後半は11、14番ホールでバーディーパットを決めた。
迎えた17番パー3ホール。2メートルのバーディーチャンスを作り出した。だが、取りこぼしてしまい、最終18番パー5ではツーオンを狙ったショットがグリーン右サイドのバンカー手前に止まった。「アップヒルのライで、2段グリーン上段のピン位置に寄せづらいロケーションになってしまいました。ランを使って上段に駆け上がらせるショットイメージだったのですが、寄せ切れませんでした」と細川は振り返る。前ホールに続いて5メートルのバーディーを決め切れずにフィニッシュしたのだった。「今日はピンチらしいピンチはありませんでした。17番ホールでバーディーパットが決まっていたなら、18番ホールも(バーディーを)取れていたと思います。ゴルフにタラ、レバは禁物ですよね。それを言ったら切りがない(苦笑)」。
シニアツアー参戦の合間を縫って、細川はレギュラーツアーのコースセッティング仕事を4年ほど続けている。「試合を観る人が少しでも楽しめることを優先してセッティングしていますが、僕自身にとっても勉強になります。選手目線とは違った立ち位置から攻め方を考えるようになりました。選手からは、たとえば『カップ位置があと20センチ違っていたら』と愚痴に似た言葉を投げかけられることもありますが、選手100人いれば100通りの攻略ルートがある。攻略プランの引き出しが以前よりも増えましたね」。
大会主催者であるスターツの契約プロとなった西村優菜が、細川が所属する茨城ゴルフ倶楽部で開催された今季ワールドレディスチャンピオンシップで優勝を果たした。「今度は僕が、このスターツシニアで勝たせて頂きます」。プロアマ大会の表彰式で細川は冗談半分、本気半分で言い切ったという。
大会初日に69で回ってエージシュートをマークした髙橋勝成は、所属先の大先輩であり、練習ラウンドを一緒に行っている。「70歳の勝成さんと(昨日は)同じスコアでしたし、しかも僕はボギーを打っていましたから、そのことも発奮材料になりました」。
これまで学んで来たことの集大成として、明日の最終日は頂点に立つ。その思いが一段と強まった。「スポンサーをはじめ、家族のためにも恩返しがしたい。できるだけスコアを伸ばして、最終組にプレッシャーを掛けるようにプレーします!」。細川は力強くそう断言したのだった。