シニアルーキーの丸山大輔(50)が、雨の悪コンディションの中でこの日のベストスコア68をマークし、通算7アンダーで2位につけた。通算11アンダーに伸ばしたタワン・ウィラチャン(54=タイ)が首位を守り、プラヤド・マークセン(55)が丸山とともに2位で追っている。大会3連覇を狙う山添昌良(53)は3アンダーの6位に浮上したが、首位に8打差で苦しい展開になった。
丸山が劇的カムバックを果たし、打倒タイ勢の1番手になった。
早朝から雨が降り続ける中、1番で8メートルを沈め、2番で1.5メートルの連続バーディーで、幸先のいいスタートを切った。しかし、好事魔多し。5番に落とし穴があった。
左ドッグレッグで、自分の飛距離によって左の谷をショートカットするルートが変わる。「まだ、どこを超えて行っていいのかよくわかっていなくて」と、ティーショットが突き抜けて右バンカーの上の土手に。そこから出したのが「まさかの」左OBに。トリプルボギーで貯金を吐き出してしまった。
それでも、続く6番で5メートルを入れて、すぐにスコアを戻して悪い流れを断ち切った。8番で1.5メートルを決め、インに入って13番で2.5メートルを沈めた。本人も「奇跡でした」と振り返ったのが上がり2ホール。17番で「水でフライヤーした」と第2打でグリーンオーバーしたが、20ヤードほどのアプローチで「ロブショットが入ってくれた」とチップイン。18番パー5では第2打を刻んで残り128ヤードを9番アイアンで1メートルにぴたりとつけ、ウィラチャンに4打差2位に浮上した。
まず口を突いて出たのが「奇跡」。そして「ドライバーの弾道が低くて、全然飛ばない。明日の戦いを考えると、不安しかないです」。
ドライバーは「練習場で振るのには合っているんですけど、試合になるとラインを出す癖があるんで、球が上がらないんですよ。昔はドライバーが一番得意だったんだけどなあ」と笑う。
その昔(レギュラー時代)から、タイ勢とはかかわりがある。まだ日本ツアーの出場権がなかった2000年に「4日間の大会を経験したい」と、QTを受けてアジアンツアーに挑戦した。台湾PGAで優勝も果たしている。その後、米ツアー挑戦を経て、2009年から4年ほどは日本ツアーのオフシーズンにアジアンツアーに足を運んでいる。
「ウィラチャンやマークセンとも良く回りました。ウィラチャンはショートゲームの達人でしたね。東南アジアで一番うまい選手」という印象が頭にある。アジア各地を転戦して、食べ物などは苦にならなかったが、水では「ミャンマーでひどい腹痛になったこともありました」と振り返る。「タイ人のバスに乗せてもらったりしていた」と、各国の選手と友達になったことは財産でもある。
シニアデビューして3戦目。シニア初優勝のチャンスに、そんな因縁があるタイ勢との優勝争い。しかもシニアではマークセンも含めて「格上」の相手だ。「やっつけようとか思ったら勝てないでしょうね。ドライバーに不安はあるけど、まあ、まっすぐ打つだけならできます」という。「レギュラーツアー20年やって3回しか勝っていないですし、優勝するのは難しいこと。(尾崎)直道さんばりに『まむし』でいこうかな」。しっかり食らいついてもらいたい。
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(オフィシャルライター・赤坂厚)