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〔TCPゴールドシニア/FR〕ライバルの猛追を振り切り、谷中宏至が初代チャンピオンに輝く

2021年11月10日

 今年新設された「

第1回PGAティーチングプロゴールドシニア選手権大会

」の最終ラウンド。首位スタートの谷中宏至(73)が1オーバー73ストロークでエージシュートを達成し、通算3アンダーで首位の座を守って優勝。2016、2019年関西プロゴルフゴールドシニア選手権大会覇者が初代チャンピオンの座に輝いた。

 最終組でスタートした谷中は、1番パー4ホールをバーディーで先行。風が都度向きを変えながら吹き抜ける難しいコンディションの中で、パーセーブを繰り返す。160ヤードの8番パー3ホールでは下り5メートルに乗ったものの、パッティングの芯が外れたボールはカップに届かず、まさかの4パットでダブルボギー。「これで優勝のチャンスは無くなった」と肩を落とす。一方、2位3打差でスタートした同組ライバルの西川貴祥(72)は、前半で3バーディーを奪取して谷中を1打逆転した状態で、バックナインに進んだ。

 10番パー4ホールで西川がボギーを叩く。谷中はパーセーブし、西川とスコアが並んだ。西川は「前半好調なペースできていただけに、ちょっと焦りがありました。不安な気持ちで後半のプレーが始まったのです」と振り返る。11、12番と両者パーセーブ。13番パー4で明暗が分かれる。西川のティーショットは、絶対に避けなければならない右のペナルティエリアに向かった。痛恨の1打罰、そして打ち直しだった。「初代チャンピオンという栄誉に手が届くかなという『欲と焦り』があったように思います。余計なプレッシャーを自分にかけてしまった」。西川はこのホールをダブルボギー、谷中はパーとしついに逆転2打差。

 谷中はその時の状態を冷静に判断し自分のプレーペースを心掛け、バックナインは36のパープレー。ライバル西川は41とスコアを落としてホールアウト。前半で一度は優勝をあきらめた谷中が、ティーチングプロゴールドシニア選手権の初代チャンピオンとなった嬉しい瞬間だった。

 「たまたま、優勝できました(笑)。ゴルフは最後の最後まで、どんな結果になるかわかりませんよね」。2日間の戦いを終え、笑顔を見せる谷中はようやく肩の荷をおろすことができた。「49歳から66歳までの17年間、プロゴルファーとして高松グランドカントリークラブで支配人を勤めていました。67歳になってから、より真剣にゴルフに取り組むようになって、関西ゴールドというタイトルを2度獲得しました。そして今年はティーチングプロゴールドシニアで優勝できて、これまでの練習の成果がようやくでてきたのかもしれません」と振り返る。

 この優勝で「日本プロゴルフゴールドシニア選手権大会」の出場権を獲得した。「来年の楽しみがひとつできました。日本タイトル戦で仲間のプロたちと競えるのは、プロ冥利につきます。これからも自分の練習を重ね、ラウンドレッスンを通じゴルフの世界を広げ、新しいことに挑戦を続けていきたい」。谷中は穏やかな笑顔を浮かべ、喜びをかみしめていた。