NEWS
シニアツアー

【シニア最終予選/FR】佐藤えいちが66をマークし21人抜き5位

2022年03月04日

 最終18番ホールのプレーを終えて、クラブハウス内のアテストエリアに向かう途中、思わずガッツポーズがでた。初日77、二日目73とし、通算6オーバーからスタートした佐藤えいち(50)だった。「借金を全部返すことができた」と笑みがこぼれた。周囲では推測が飛び交う。最終ラウンドの前半で落としたスコアのことなのか、それとも・・・。

 最終予選会直前まで、沖縄で1か月間ゴルフ合宿に参加していた。例年は3カ月という長いスケジュールを組み、一軒家をレンタルするほど徹底してゴルフに打ち込んでいるのだという。合宿の期間が短くなったということが原因ではないというが、最終予選の会場に到着するなり、ショットが全くと言っていいほど当たらない。ショートアイアンでもグリーン面を捉えないというほど致命的な症状を抱えていた。

 それでも初日、2日目とバーディーが先攻してくれていたことが安心材料ではあった。絶不調といえる状況でも「最低パープレー」を目標に掲げ、最終ラウンドは1番ホールからスタートした。2、3番で幸先の良い2連続バーディーだったが、パー5ホールでは2オンせず、短いパッティングを外して流れを止めてしまうなど、ストレスが重なる。なんとか前半を2アンダーで守り後半へ。12番パー4では4メートルのパッティングを沈めてパーセーブ。13番パー4のティーショットは右ラフへ。残り155ヤードを8番アイアンで打ち、8メートルのバーディーパットが決まる。「なんとか我慢しよう、守っていこう」と、気持ちが前向きになった直後、15番から3連続バーディーを重ね、3日間ベストスコアとなる66をマークし、通算イーブンパーで5位フィニッシュ。佐藤は2ラウンド分の借金「+6」を一気に返し、さらにツアー出場資格も手に入れたのだった。

 「本当にショットが悪くて、毎回なんとかグリーンに乗ってくれと願う連続でした。苦しい予選会ではあったのですが、ここまで戻せるとは思ってもいなくて・・・」。佐藤は昨年12月に行われた1次予選会(平川CC)を17位で終え、同スコアのカウントバックで最終予選会の切符を目前に逃していた。その後、同会場上位者欠場により、運よく出場資格が下りてきた。「一昨年の予選会は、腰痛で途中棄権していましたから、今回の最終予選では何が起こってもおかしくないし、楽な気持ちでいられたらとは思ってはいたのです。それにしても予選会ギリギリの成績から、最終予選上位まで経験できるとは、自分でもびっくりしています」と振り返る。

 沖縄合宿を共にしていた教え子たちにも、良いニュースを届けられる。「今回の成績で、ゴルフの魅力や面白さが感じてもらえたら。あとは最後まであきらめないこと。『挨拶と礼儀の大切さ』を僕自身シニアツアーで実践し、教え子たちにその経験も伝えていけたら」。50歳、佐藤えいち。ピカピカのシニアツアー1年生として、4月沖縄の金秀シニアから、シーズン優勝を目標に戦う。