グランドの部(60歳以上)で、室田淳(66)が逆転で3度目のタイトルを手にした。首位に4打差でスタートし、上位が伸びない中で11番までに5バーディーを奪うなど、通算4アンダーで優勝を飾った。ゴールドの部(68歳以上)では、通算1アンダーで並んだ佐野修一(74)と友利勝良(68)のプレーオフとなり、1ホール目でバーディーを奪った佐野が優勝した。
「困ったなあ」と、室田は思ったという。13番ティーグラウンドで詰まっているときに、上位のスコアを見た。「こっちは5アンダーで、下が1アンダー。そうなると、ゴルフは守りに入ってしまう。案の定、13番で右に外してボギーにした」と振り返る。残り5ホール。「なかなかバーディーが来ないコースだし、そこからは積極的なパーを取りに行ったね。ピンまで遠かったけどしっかり2パットでいけたね」と、4アンダーを守り、2018、20年に続く、この大会3回目の優勝をつかんだ。
「なんていうか、不思議な優勝だね」という。理由は「準備不足」。試合のなかった5月、週1回ほどしかゴルフをしなかった。「そうしたら5キロ太ってね。今は自分のゴルフをやって見ないとどうなっているのか分からない状態。昨日もいいゴルフをしていたけど後半ボギーをたたいた。今日もダメかなと思って出た。だからノープレッシャーだった」と、優勝の2文字はその時点では頭にはなかったようだ。
1番で第2打100ヤードを「95ヤードしか飛ばないはずの50度のウエッジで打ってピンまで飛んだ」と、やってみないと分からないゴルフだった。しかし2番で2メートル、5番では左ラフから2メートルとバーディーが来る。「今日はアイアンの調子がよかった」というのが、逆転の要因になった。10番パー5で第2打をグリーン近くまで運びバーディー。11番では難しいピンの位置に「いってしまえ」と狙い、右に外したがそこからチップインを決めた。「攻める気持ちでいったら、狙いやすい、いい方に外れてくれたんだね」と振り返った。
このコースには3月に練習ラウンドで訪れた。3日間で4ラウンドしたという。「今回はメモを持たずに行った。グリーン面は頭に入っている」と、難しいグリーンを攻略できた。最終日が雨になったのも良かったようだ。「おれ、雨男だから。雨の時にけっこう勝っている。それが今回有利だったところかな」と話した。
先週のシニアツアー、すまいーだカップで真板潔が5年ぶりの優勝に涙を流しているのを見て「頑張ってきたんだなって感じた。努力して、勝って泣きたいと思ったよ」という。今回、涙はなかったですが?「努力が足りないなってこと」と笑った。
今後の目標を聞くと「8月までに5キロ痩せる」。いえ、ゴルフの目標ですが?「5キロ痩せる。体重が増えると、下半身が耐えられない。だからスイングがかぶったり、体が起きたりして、粘れない、芯を外す。痩せて、ショットを元に戻したい。5メートルのバーディーパットはそうそう入るもんじゃない。やっぱり、常に1ピン(約2.5メートル)ぐらいにつけるショットを打つのが理想だから」。
シニアツアーでは2018年の阿蘇シニアオープンで通算20勝目を挙げて以来、優勝から遠ざかっている。「シニアツアーの優勝」という言葉はぐっと飲みこんで、まずは体を整えることが優先。その先に「涙の優勝」が待っているかもしれない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)