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グランドゴールド

【日本グランドユニテックスHD杯/1R】大病を克服した曲山が首位2打差3位と躍進

2022年06月10日

 グランドの部(60歳以上)で、関東プログランドを制した「新人」の崎山武志(59)が、4アンダー68をマークして首位に立った。1打差で同じくグランドデビューの堤隆志(59)が追走、2打差3位に脳腫瘍手術を乗り越えた曲山正廣(67)がつけた。ゴールドの部(68歳以上)では、佐野修一(74)とゴールドデビューの友利勝良(67)が2アンダー70で首位に並んだ。

 ゴルフどころか、人生も失いかねない大病を克服して、曲山(まがりやま)が日本タイトルに手が届く位置につけた。

 「名前と反対で、ティーショットはほとんど曲らなかったんで」と、笑った。ボギーなしの2バーディー。インスタートの13番パー3で「14、15メートルのスネークラインだった」という寄せるのも難しそうなパッティングを決めた。8番では第2打をピッチングウエッジで「20センチもなかった」という快ショットをみせた。「グリーンが難しいんで、ボギーなしは満足しています」と話した。

 1984年にプロテストに合格した。千葉・習志野CCにいた関係で「プロテストに合格した時の推薦人が林由郎さんとジャンボさん(尾崎将司)でした」と、2人のレジェンドに後押しされた。「でも、ジャンボさんには『お前の名前は大成しないなあ。曲って山、じゃなあ』と言われました」と、厳しいジョークで送り出されたことを笑って振り返る。

 レギュラー時代は目立った成績を残せなかった。50歳になってシニアツアーで、という矢先の1985年に病魔に襲われた。「ボールペンも箸もうまく持てずに落とすんです。ドライバーの飛距離も200ヤード行かなかった」という。検査で脳腫瘍が見つかった。頭蓋骨に穴をあけて、16時間に及ぶ手術が成功した。

 「生き返った感じでしたね。いい先生に巡り会えて、16時間もかかったのは細かく神経をつないでくれたからだそうです。実は、手術して1カ月でゴルフしたんです。うまく神経がつながっているかどうか確かめたくて、素振りもしないでいきなり回って1アンダー。腫瘍を取ったら飛ぶようになったんです。今は楽しんでゴルフをしています。何より、感謝しています」。

 シニアツアーでも目立った成績は残せなかった。そして、来年にはゴールド世代となる。グランド世代としては最後の年に、日本タイトルに手が届く位置にきた。「最終日は楽しんでやります。上位にいるのはうまい人ばかりですから。これまでプレッシャーなくゴルフをしてきましたが、やはりプレッシャーはかかるんでしょうね。落ち着いてやりたい」。

 日本タイトルを手にすることで、手術に携わった人たちへの感謝の気持ちを「形」にできる。

(オフィシャルライター・赤坂厚)