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【関東グランド/FR】濃霧でFR中止により崎山武志がグランド初優勝

2022年04月27日

 箱根湖畔ゴルフコースで行われた関東プロゴルフグランドシニア選手権大会の最終ラウンド。コースには朝から濃霧が立ち込み、予定スタート時間になっても天気の回復が見込まれず、最終ラウンドは中止が決定。第1ラウンドで7アンダー65をマークした崎山武志(59)が初出場で大会初優勝を飾った。6月に和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部で行われる日本グランドには、有資格者を除いた上位23名が進出することになった。

 

 「こんなに気持ち良くプレーしたのは久しぶりって言えるくらい、大会初日は最高のラウンドだったので、そのスコアで優勝できたと思うと、本当に幸せで・・・。まだ信じられないです」。崎山は久々に優勝という余韻に浸った。濃い霧に覆われたゴルフ場では、朝早くから選手、関係者全員が天候の回復を願っていた。予定していたトップスタート時間より1時間20分遅れのスタート時間も設定されていたが、好天が見込まれないと判断され、最終ラウンドの中止が告げられた。ハウス内で待機していたグランドルーキー崎山の周りには、先輩プロが取り囲み「優勝、おめでとう」と快挙を称えた。

 崎山は1962年11月22日生まれ。2013年4月のシニア最終予選会を2位で通過し、翌週に開催されたシニア開幕戦・金秀シニアに参加。崎山は好調をキープしたまま、2位に3打差をつけてシニアデビュー戦で優勝し、偉業を達成していた。シニアツアーにルーキー崎山という存在感を示した後も、賞金王争いを2度経験。シニアツアーは通算7勝を挙げ、今年も賞金ランキングシード資格を守りつづけている。

 2016年スターツシニアが直近の優勝タイトルで、その後は腰痛などを発症し、思うような成績に繋がらなかった。「あの頃は優勝を期待される中で、本当に苦しかった」と崎山は胸のうちを明かした。人知れず練習やトレーニングに励み、ようやく昨年8月頃から、復調の兆しが見えてきたという。「スコアに執着しなくていい。まずは試合を楽しむことが優先にして、緊張感を持って上を目指していこう」と自分にプレッシャーをかけすぎていたことを反省し、気持ちを切り替えてきた。

 

 今シーズンの崎山は体調も良く、ゴルフを精神的に楽しめるようになってきたが、成績に繋がらない原因もわかっていた。先週のノジマチャンピオン杯のホールアウト後、練習グリーンに向かってきた伊澤利光に「僕のパッティングを見てもらえますか」と崎山はわらをもつかむ思いで声を掛けた。

 伊澤はレギュラー16勝、賞金王タイトルが2度、世界を含め数多くの試合経験があり、崎山が尊敬するプロゴルフファーの1人でもある。崎山のパッティングを見て「インパクトが無いですよ」と伊澤は率直に伝えたという。調子の良かった時に聞いていたインパクト音が崎山にも聞こえていなかった。音が聞こえるように、パター面でしっかりインパクトを捉えるようになると、思うようなラインに乗せやすくなってきた。「自分ではアマチュアの方にもアドバイスはするのに、まさか自分が出来ていなかっただなんて。あの時に伊澤さんから指摘されていなかったら、今回の優勝はまずないです。伊澤さんには改めてお礼を伝えたい」と、感謝の気持ちを口にした。

 シニアデビュー戦、そしてグランドシニアデビュー戦と、節目で優勝を挙げた崎山は「6月のすまいーだシニアに向けて、しっかり準備を整えたい。このいい流れに乗って、地元栃木でシニア8勝目を飾りたい」と目標を立てた。その先にはゴールドシニア(68歳以上)部門が待っているが「そうですね(笑)。その年まで、シニアシード選手でいることも目標のひとつです。そのためにゴルフできる身体づくりと、日々練習の積みかさねは続けていきたいです。応援していただいている方に、良い結果を届けて喜んでもらえれば、プロ冥利につきます」と話し、顔をほころばせた。

 優勝から遠ざかっていた5年間。長い期間苦労を乗り越えた先に掴んだのが、関東グランドシニアという公式戦タイトルだった。「第43代目のチャンピオンになれたこと、本当に光栄です。ここまで来られたことに、感謝しかありません。僕のゴルフ人生は、まだまだ上を目指します」。今回優勝を経て、自分らしいゴルフを自信に変えつつある。

(左・優勝 崎山武志、右・PGA副会長 芹澤信雄)

※記事中写真は第1ラウンド時