今季の国内シニア最終戦、「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」の初日の競技が終了。飯島宏明が6バーディ・ボギーなしの「66」をマークして、自身初の単独首位発進を決めた。5アンダー・2位タイには、エージシュートの「67」をマークした倉本昌弘をはじめ、寺西明、水巻善典、兼本貴司、レギュラー最終戦ではなくシニアを選んだ宮本勝昌の5人が続いている。
シニア2年目の飯島は昨年大会では3日間で「77」「72」「77」と一度もアンダーパーをマークすることができず、トータル10アンダー・58位タイに終わっている。それが一転、「苦手意識が強い」コースで、昨年の優勝スコアを1日で達成してしまった。単独首位でホールアウトすると、いつも一緒に練習ラウンドしている清水から「どうだった?効果あった?」と聞かれた飯島。いったい何があったのか。
「清水さんが言えって言うんですけど(笑)、きょうはボールにラインを書いて、それをカップに向けてやっていたんです」。いままではボールに線を引かずにパッティングしていたが、ショートパットが「たまに全然違うほうに、カップにかすらない外れ方をしていた」ことから、飯島自身がひらめいて、今週からボールに線を引いて、それを目標に合わせてパッティングするようになった。
しかし、練習グリーンでそれを試していると、それを見ていた清水から茶々が入る。「置くのが下手だな」。
「僕はもともと外側に線を向けて構えていたみたいなんですよ。清水さんは上手なので置いてもらうと、僕的には内側に向いているように見えたんです。何人かの先輩たちにも確認したら『それが正しい』と。なので、きょうはそれを信じて、自分のほうに向いているような感じでやったら、それがよかったですね」。
飛球線方向から見たとき、飯島の線の合わせ方は少し左に傾いていた。それが実際は、構えたときに線は真っすぐではなく外側にズレて見えるため、飯島自身の意識としては内側に向けるようにしたというわけだ。「スライスラインならまだしもフックラインで外側にズレていたらおかしいですよね」と話す。
初日をアウトコースからスタートした飯島は、2番こそ1メートルのバーディパットを外したが、続く3番では4メートルのバーディパットを皮切りに、4番でもバーディ、5番では7メートルを沈めて3連続バーディを奪った。後半に入っても10番では10ヤードのアプローチを直接入れてバーディ。12番では3メートルを決め、13番パー5では6メートルに2オンさせて2パットのバーディと、ショットとパットがしっかり噛み合い、好スコアにつなげた。
レギュラー時代には2004年の「ミズノオープン」でプレーオフへ進むも、ブレンダン・ジョーンズに敗れた。それが一番優勝に近づいた瞬間で、ツアーではまだ勝利はない。ツアー優勝は「やっぱり目標。勝ちたいですよね。最後はグッドフィニッシュをしたいです」と悲願のツアー初優勝をシニアツアーで叶えたいところ。
「きょうは風がなかったけど、明日は雨で荒れると思う。明日我慢して明後日(最終日)勝負がしたいですね。トータルで二ケタアンダーを目指したい」。線を引くようになったボールは「風に強いかなと思って」と今週は『PRO V1x』から『PRO V1』に換えた。それに伴い、ボールに印字されたナンバーの文字色は『赤』から『黒』にチェンジ。色も気持ちも引き締めて残り2日間に臨む。