「第6回福岡シニアオープンゴルフトーナメント」最終ラウンドが、福岡カントリークラブ和白コースで10月30日に行われた。シニアの部(6,588ヤード/パー72)では、首位2打差5位スタートのプラヤド・マークセン(56)がスコアを4つ伸ばし、通算7アンダーで逆転優勝を飾った。賞金700万円を獲得。日本プロシニアから5戦連続で優勝、シニア通算20勝をマークし、室田淳(67)の持つ優勝最多数記録と並んだ。尚、大会単独2位に入り、賞金ランキング2位に着いている藤田寛之(53)は、次戦のコスモヘルスシニアは欠場。マークセンとの賞金差が約1368万円と開いたため、最終戦を待たずにマークセンが今季のシニア賞金王に輝いた。
首位2打差でスタートしたマークセンは、最終組がスコアを伸ばせない中で、前半スコアを2つ伸ばし上位に浮上。後半、目まぐるしく上位が入れ替わる中で、15番ホールで久保がダブルボギー。マークセンと藤田が逆転首位に立つ。最終18番ホールで、藤田が4メートル弱のバーディーを逃しマークセンとの差をつけられず、マークセンの18番の行方に注目が集まった。
マークセンは18番ホールティーインググランドで、前組にいる藤田がスコアを伸ばせないと知り「入れたら優勝、入らなくてもプレーオフに持ち込める」と確信した。ところが、ティーショットを左に曲げてしまい2オンは難しいと判断。60°のウェッジで出すだけにして、スタイミーになる木を避け3打目勝負に出た。グリーンカラーに乗った球はピンまで5メートルの距離。ボール1個分のスライスラインと読んだ。自信をもってジャストタッチのパッティングをすると、ボールは真ん中からカップに入った。久々にガッツボーズも決め、マークセンが逆転優勝を飾った。「まさか、あのラインをカラーから打って沈めるなんて」と他の選手に言わしめるほど、圧巻のゴルフを披露した。
9月「コマツオープン」で2位に入ってからというもの、翌週の公式戦「日本シニアオープン」で優勝。10月から始まる秋の連戦で公式戦「日本プロシニア」、「佐世保シニアオープン」、「ISPS HANDAやっぱり面白いシニア」、そして「福岡シニアオープン」と4週連続でトーナメントが開催される中、5戦連続で優勝、負けなしという日本シニア史上初の快挙を達成したプラヤド・マークセン。本人も「タイでは4戦連続はありましたが、5戦は人生で初めてです」と驚きを隠せない。
鉄人といわれる室田淳は63歳の時にシニア20勝目を挙げたが、今回達成したことについてマークセンは「シニア7年目ですが、こんな早い期間で室田さんと同じ記録を達成できて嬉しいです」と声を弾ませた。
一方で賞金ランキング2位の藤田寛之は、次戦のコスモヘルスシニアの週にレギュラーツアー(マイナビABCチャンピオンシップ)に出場することが決まっている。福岡シニア終了時点で、藤田はマークセンとの賞金差が約1368万円となり、最終戦の優勝賞金が1200万円なので、最終戦を待たずにマークセンが今季のシニア賞金王になることが決定した。シニアデビューした2016年から3年連続賞金王、その後コロナ禍で来日できない期間やプレーがかみ合わない年もあったが、2022年は4度目のシニア賞金王のタイトルを手にし、喜びもひとしおだ。「大好きな日本でゴルフが出来て、たくさんの人に応援いただき、本当に感謝しています。各地で開催されるトーナメントは素晴らしいコンディションのコースばかり。シニア選手のみなさんも当然優勝を目指していますから、私のモチベーションも自然と上がります」。
マークセンは5戦連続でトップを走り続けているが、次戦のコスモヘルスシニアは中4日挟んでの開催。いよいよ6試合連戦の出場となる。「平川カントリーはグリーンが速く、仕上りがいい状態だと聞いています。そうですね、このままパッティングの調子が良ければ、また勝てると思います」。残り2試合、スマイル・マークセンは自分の可能性を信じて、新記録に向かって挑戦を続ける。