第5回大会覇者・篠崎紀夫(53)はシニア4年目を迎えて、「だいぶシニアツアーの雰囲気が変わりましたよね」と口にする。「尾崎健夫さんや、直道さん、飯合さんといったトークもゴルフも両輪で披露できる偉大な先輩がツアーを盛り上げてくれる一方で、シニアツアーデビューから期待されて、しっかり寡黙にゲームに集中するだけという若手のスタイルと2極化していますし。そこで、我々1969年世代が期待されなきゃですよね」。先週の「ISPS HANDAやっぱり面白いシニア」で先輩たちが試合全体を面白くしてくれる姿が、今までゴルフファンが試合会場へやってくることに改めて感謝したという。篠崎の同期には、藤田寛之、桑原克典、塚田好宣といった実力もある個性豊かなメンバーがいる。「この大会ではディフェンディングチャンピオンの私も含めて活躍することが、シニアツアーの面白さが伝わると思いますから、楽しんでいただけるようできる限り頑張りたい」と気持ちを奮い起こした。
篠崎は、現在賞金ランキング30位に着けている。賞金シードでいうと当落ライン上にいることになる。昨年シニア賞金王に輝いたこともあり、シニアツアーは3年シードが確約されているが、毎年実力で賞金シードリストに名前を置きたいというのが目標でもある。「焦っても仕方ないですしね。昨年よりはドライバーがストレスなく安心して振れるようになりましたし、あとはアイアンショットが暴れなければね」と受け止めている。暴れる原因は柔らかいシャフトだった。「昨年からアイアンは同じものを使っていたのですが、ドライバーのシャフトを固めにしたら、アイアンとのバランスが悪くなっていたようです。予選落ちした日本シニアオープン後に、ヘッドとシャフトを組みなおしたもの使い始めたら、少しずつ成績が上向きになってきました」と手ごたえを感じ始めている。
千葉ロッテファンの篠崎は前千葉ロッテヘッドコーチ森脇さん(プロアマゲスト)と記念撮影
今季は2日間大会のマルハン太平洋シニア、佐世保シニアオープンでトップ10入りしており、篠崎らしい爆発力の高さにも期待がかかる。「とにかく初日のスタートダッシュが勝負です。去年の良いイメージが残っていますし、ショット精度もあがってきています。あとはパッティングが入るまで我慢しないと。今回は自分に流れが来るのを待ちたい」。篠崎はゴルフファンにシニアツアーを楽しんでもらうために、注目される前年覇者として、できるパフォーマンスを最大限に引き出したい。
大会3日前には、出場選手の水巻善典、手嶋多一、篠崎紀夫がゴルフの伝道師となって、和白東小学校に訪問。体育館で小学6年生とショットのデモンストレーションやスナッグゴルフのパッティング対決などを通じて、ゴルフの難しさや楽しさを体験したという。篠崎は「僕たちはちょうどコロナ禍にシニア入りしたので、こういう取り組みが元々されていたということを知って、すごくうれしかったです。子供たちはとっても感性が鋭いので、どんなスポーツでも柔軟に楽しんでくれる。少しでもゴルフに興味を持ってくれると嬉しいですよね」と頬を緩ませた。