シニアルーキー河井博大は先週の日本プロシニアでは第3ラウンド66をマークしたことで、大会の順位を14位までのし上げることに成功していた。このジャンプアップにより、今季シニアツアー10戦中6戦で賞金ランキング34位に着け、賞金ランキングシードの30位というボーダーラインまではあと一歩のところにいる。
河井は9月のコマツオープン練習ラウンド直後に、コロナ陽性が発覚し、当週のコマツオープンはもとより日本シニアオープンの欠場も余儀なくされた。自分の陽性判定以外にも、食事を共にした先輩や同期プロや、関係者に心配をかけることになってしまった。「ただただ申し訳ない気持ちが先行しました。感染後2週間は倦怠感と不安な気持ちの中で過ごしていて、苦しい時間をさまよっていました」と吐露した。だからこそ全力を尽くす事で、失った時間を取り戻すことを硬く誓っていたのだった。
プロシニア後の佐世保シニアオープン初日は、昔からあこがれていたという奥田靖己と同組。目の前にスーパープロがいることが刺激になり、必死に7バーディー1ボギー66をマークし5位についた。「こんなに幸せなタイミングに巡り合うとは思いもよりませんでした。目の前に憧れのプロがいて、緊張と興奮の中で良いプレーできたことはシニアツアー冥利につきます」と好プレーを喜んだ。最終ラウンドは最終組の1組前でプレーした。さらに緊張感も増す中で、順位も意識しながらの苦しい時間だった。「ただただ1打の攻防が求められる状況と、油断が許されないという緊張感でした。ティーショットがフェアウェイ真ん中にあっても、全く油断できないですし、スロープレーになって迷惑をかけないようにとか、気を張り詰めるばかりでした」と苦しいラウンドを振り返る。そんな状況も、気付けば4バーディーノーボギーと好プレーで終え、通算9アンダー2位タイと好位置で今回の成績を残す事ができたのだった。
「夢中で目の前の一打をこなし、68回で終えました。最高の出来だったかもしれません。気持ちもふわふわせずに完走できましたから」とアテストを終えた河井は、ようやく安堵の笑みをこぼした。
シニア1年目、10戦目の佐世保シニアオープン。完走後の賞金ランキングは22位まで順位をあげられた。「まだ油断はできませんが、毎試合、全てのショットに全力をつくして、ヘトヘトになるまでやりきってみます」。来月には51歳の誕生日を迎える河井が、残りの連戦に来季のシニアツアー生き残りをかける。