スーパーシニアの部・最終ラウンドは、初日にエージシュートを達成している海老原清治(73)が優勝に近いと思われていた。しかし海老原は2,3番ホールで連続ボギー、さらに4番をダブルボギーとしてしまい優勝戦線から離脱した。一方、首位3打差1オーバー、3位スタートの山本善隆(71)が73ストロークで回り、通算2オーバーでスーパーシニア初優勝を飾った。
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最終ラウンド、山本は赤シャツと黒スラックスといういで立ちでコースに現れた。それは米ゴルフのレジェンドといわれるタイガー・ウッズの勝負服を意識した格好だった。その影響もあるのかどうか、さらに「ショートゲームの感触がいい」とスタート前確信があった。前半は、同組ライバルの海老原が目の前でスコアを落とすのを横目にしながら、山本は我慢のパーセーブを続けた。後半山本は10、11番を連続バーディーを獲り、この時点で首位に立った。しかし、13番セカンドショットをバンカーに入れボギーとすると、14番ではスタイミーとなる木を避けようとして、ショットは木に当たり、ボールはバンカーへ。パットも決められずまさかのトリプルボギーに。次の15番パー3はバーディーでバウンスバックに成功。ここでスコアを競り合っていた青木基正と首位タイに並んだ。残り3ホール、優勝がかかる白熱した駆け引きが続き、最終18番ホールでは、青木がボギー、山本はティーショットを左の林に入れたもののパーセーブができて、スーパーシニア初優勝を飾ったのだった。
これまで山本は「シニアの部」で佐世保シニアオープンに出場していた。「スーパーシニアの部」と「シニアの部」では約500ヤード距離の差がある中で「最後までティーインググランド前方からの距離感がつかめなかったんです。ティーショットはドライバーだと飛びすぎてしまうから、スプーン(3番ウッド)でしたし、そうするとセカンドの攻め方に悩んでしまったりしてね」と振り返った。それでも朝の練習で良い手ごたえのあったショートゲームは最終18番まで続き、山本は2位に1打差をつけて優勝することができた。
「最近は試合というよりも、楽しんでゴルフすることが多くて。そうなると『ちょっとやってみよう』とついついピンを攻めてしまう」。昔から仲の良いライバルに、海老原清治、髙橋勝成がいる。山本より2つ年上の海老原とラウンドするときは、ついつい飛距離対決になってしまうという。「海老原さんとはほとんどドライバー飛距離が変わらない。こうやって久々に会った時に、練習を続けていたのかどうかが分かるし、元気かどうかもわかる。今は試合で勝つためにというよりも、ゴルフをいかに楽しんでやれるかだね。スーパーシニアの世代になって、ゴルフの新しい楽しみ方が見えています」。山本は優しい笑みを浮かべた。
佐世保シニアオープン後は、「ゴルフサバイバル」というゴルフ番組で初めて解説の仕事に挑戦する。さらに「ゴルフ侍」への出演依頼もあり多忙な日が続く。レギュラーツアーでは13勝を誇るベテラン、そしてレジェンドプロゴルファーとして、これからも活躍の場を広げ続ける。