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シニアツアー

〔KOMATSU OPEN/FR〕シニア2勝目の深堀圭一郎、3つのパー5で「ドライバーを握らない」徹底したマネジメント

2022年09月10日

 今季シニアツアー7戦目「

コマツオープン2022

」最終ラウンド。首位タイスタートの深堀圭一郎(53)とプラヤド・マークセン(56)がそれぞれ66をマークし通算13アンダーでプレーオフへ。18番パー5で行われた2ホール目、深堀がバーディーパットを沈めて優勝。優勝賞金1200万円を獲得し賞金ランク3位に浮上。2021年モアサプライズカップ以来、シニア2勝目を挙げた。

 今年のコマツオープンはトータル13アンダーで並んだ深堀圭一郎とプラヤド・マークセン(タイ)が大会9度目のプレーオフに突入。18番パー5の繰り返しで行われた2ホール目に、バーディを獲った深堀が、パーとしたマークセンを下し、シニアツアー通算2勝目を挙げた。優勝会見では「自分の決めたマネジメントに徹してできたのが良かった」と勝因を語った。

 最終日はともにトータル7アンダー・首位タイでスタートした最終組の深堀とマークセン。20ホールに渡ってシーソーゲームを繰り広げた。先手を打ったのはマークセン。1,4番とバーディを奪って深堀を2打突き放す。深堀も負けじと5,7番とバーディとしてマークセンに追いつく。サンデーバックナインは、同じ組の塚田好宣と、前の組の久保谷健一を含めた4人の争いとなった。

 深堀は11番で1つ落とし、13番ティに立ったときには、13番でバーディを獲った首位の久保谷健一とは2打差、2位のマークセンとは1打差、塚田とは同スコアだった。13番は初日、2日目は387ヤードのパー4だが、最終日はティが前に出されてワンオン可能な287ヤードのパー4に変わる名物ホール。「13番でつまって、ボードもあったし、前の組とか状況が何となく見れた。そのあとのプレースタイルをまた自分のなかで整理できました」。グリーンが空くのを待つ時間があったことで、劣勢に立たされながらも深堀は冷静に、勝ちへのシナリオを構築していった。

 「久保谷が11アンダーで、マークセンとは1個離れていて、13番で最低1個は戻さないといけない」。13番は2日目は4番目に難しいホールだったが、ワンオン可能な最終日は2番目に易しいホール。最低でもバーディは欲しい。「後半の流れでは落とすことは想像していない。ティショットは3番ウッドで、本当に完璧なボールが打ててピンの右横。僕の歩測では10歩くらいでした」。深堀のティショットはグリーンに着弾した後に、右奥のラフまで転がった。そのアプローチを直接入れて起死回生のイーグル。一気に2つ伸ばしてトップの久保谷をとらえる。実は13番では2日目も左のラフからチップインバーディを奪っている。

「きのうはたまたまですけど、きょうは狙って入った。手前から転がすなら入るかなというライだった。ラインは5ヤードまではスライス傾斜で、残りの5ヤードはちょっとだけフックする。狙ったところに落ちて、あれはもう思い通りでした」

 マークセンは13番をバーディーとして、3人がトータル11アンダーで並んだ。深堀とマークセンは続く14番パー5でもバーディとしてまったく譲らない。逆に久保谷は15番でダブルボギーを叩いて優勝戦線から脱落した。塚田もショットはチャンスにつくもののバーディパットが入らない。ここで優勝争いは深堀とマークセンの2人に絞られた。

 ここで気になったのは、右ドッグレッグの5番パー5こそティショットでドライバーを握ったが、ほかの3つの1、14、18番のパー5ではそれぞれドライバーではなく、5番ウッドと3番ウッドを握ったことだ。

 「1番のパー5ではずっとドライバーではなく5番ウッドで打ちました。自分のなかで自信が持てるというか、練習ラウンドで自分の決めたプランニングに徹していた。14番パー5も毎日5番ウッド。良い球が打てるとセカンドは3番ウッドでいいところまで持っていける」。マークセンと塚田がドライバーで豪快に飛ばすマネジメントを選択しても、「一緒に回る選手とか自分のポジションに関係なく、『セカンド以降の勝負』と考えてやれました。今週うまく行った1つだと思います」と自分を貫いた。

  そして、初日、2日目と深堀が3パットのボギーを打っている鬼門の16番パー3。リベンジしたい最終日は、ティショットを左手前のバンカーに入れて、それを寄せきれずに再びボギー。マークセンから1打後退した。「3日連続ボギーなんですけど、16番はオナーだったので、グリーンのセンターに乗せて、パッティングの勝負っていうショットを打たないといけなかった。ああいうミスが起こるのは足りないことだらけ」と、きょうの反省点に挙げる。

 「17番は行くしかなくなった」と、2番ウッドで打ったティショットでフェアウェイをとらえ、残り161ヤードのセカンドショットは8番アイアンでピンを刺して20センチのベタピンバーディ。すぐさま追いついて見せた。18番のティでは深堀とマークセンがトータル12アンダーで並んでいた。「プラヤドのきょうのゴルフを見ていたら、バーディを獲らないとプレーオフには残れないと思っていた」と考えていたのにも関わらず、4つ目のパー5もドライバーを握らず。3番ウッドを選択した。

 「ドライバーで初日はフェアウェイにいったんですけど、きのうは左のラフだった。フェアウェイにしっかり行かないと、ラフの状況でどう打てるか正直わからなかった。僕は3番ウッドの方がフェアウェイに打てる自信があったし、3番ウッドでもセカンドで届く距離だった」と振り返る。深堀は初日、2日目ともに18番パー5ではパーに終わっていた。

 深堀の3番ウッドのティショットはフェアウェイをとらえたものの、キャリーで止まって思ったような飛距離は出ず。セカンドは再び3番ウッドで、グリーン右手前のバンカーに入れた。マークセンはドライバーとユーティリティで、グリーン奥のラフまで運んでいた。この時点ではマークセンが有利な状況。40ヤードの長いバンカーショットはプロでも苦手としている距離だからだ。

 再び劣勢に立たされたが、深堀はまったく慌てていなかった「ロングバンカーはけっこう練習している」と、51度のウェッジで打ったボールはきれいな弧を描いてカップ50センチにピタリ。逆にマークセンにプレッシャーをかけた。「カップに近づいていったから、見ているほうがゾクゾクしていた。カチャコンって消えないかなって淡い期待を抱いていました(笑)。3打目のバンカーショットは自分の頭のなかで描いた映像通りの球が出ました。あの場面であのショットを打てるのは、自分ではすごくいいショットだったと思います」。深堀は楽々バーディ。マークセンも奥のラフから1メートルに寄せてバーディパットを決め、2人の勝負はプレーオフにもつれ込んだ。

 舞台は再び18番。「プレーオフになったら勝ち負けしかないので、ドライバーに替えました」と今度はドライバーを選択。フェアウェイをしっかりとらえた。ここは深堀もマークセンも2オン2パットのバーディ。深堀のイーグルパットは18メートルで、これをしっかり打って1.5メートルオーバー。外せば負けるバーディーパットをしっかり真ん中から決めた。「ここに来る前に準備は自分なりにしてきて、54ホールではタイで終われたので、何か自分には今週宿っているはずだと言い聞かせて。それを信じたプレーオフでした」。

 プレーオフ2ホール目でもドライバーを握ってフェアウェイをとらえると、次に持ったのは5番ウッド。「最後は風がフォローだったので5番ウッドでちょっと大きかった。奥に外して寄せようと思ったマネジメント通りのところに外れた。状況を見ておいたので、あそこならアプローチでなんとか寄せられると思っていた。セカンドでは狙った通りの球が打てました」。5番ウッドでのセカンドショットは、ピン筋に飛んで、奥のラフへとこぼれた。これを1メートルに寄せると、マークセンが左のラフからのアプローチを寄せきれず。バーディパットも外したことで、勝利のときは近づいていた。深堀はバーディパットを沈めると、手を高く上げて喜びを表現。徹底したマネジメントを貫いての勝利だった。

「今週は本当にうまくいった。正直、得意なコースかといったら、そんな得意なコースではない。風がやっぱり難しくて、自分で過剰反応してミスを起こしそうなコースだった。それを上手く打てたっていうのは自分が練習してきたから。いろんなことを考えてやったのが少しずつ形になったっていうのが良かったですね」

 シーズン序盤は、体が思い通りに動かずなかなか成績を出せず苦しんでいたが、トレーナーとも相談しながら試行錯誤を繰り返してきた。「正解はわからないでですけど、気持ち良く振り切るにはどうやったらいいかを考えて、いつもコンディショニングをしている。ビビって振れないんじゃなくて、ここまで振れる自分をどうやって作るか」。初日は体に力が入らなかったが、「部屋で夜と朝にトレーニングして締め直す」ことで対応し、最終日は17、18、(プレーオフの)18、18番と4連続バーディでマークセンに競り勝った。

 きょう10日は深堀の妻、フリーアナウンサーの進藤晶子さんの誕生日。結婚して今年で17年目。深堀家族にとって忘れられない特別な日となった。