レギュラーツアー通算12勝の宮本勝昌が、先月28日に50歳の誕生日を迎え、今大会でシニアツアーデビューを飾る。今週、来週はレギュラーツアーの「Shinhan Donghae Open」、「ANAオープン」に出場することもできたが、シニアの「コマツオープン」、「日本シニアオープン」を選んだ。
2019年の「中日クラウンズ」で優勝を飾り、昨シーズンの賞金ランキングは35位。レギュラーでも現役バリバリの宮本。今季も「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」で優勝争いの末、3位タイに入るなど存在感は抜群で、現在の賞金ランキングは49位と、今年も賞金シード圏内にいる。急いでシニアデビューする理由はないように思える。
「基本はシニアにシフトしていくつもり。レギュラーツアーの試合数を減らしつつ、シードを獲るというのが当面の目標です」と、レギュラーにしがみつく感じもない。驚くべきは試合のスケジュール。8月のレギュラーツアー「セガサミーカップ」からシニアツアーも含めて16週連続出場の予定を組んでいる。シニアデビューとなる今大会は、その4試合目となる。
「先週がレギュラー(フジサンケイクラシック)で、今週がシニアで来週もシニア。僕は試合があれば、レギュラーでもシニアでもどちらでもいい。基本は年間30試合をイメージして、年間スケジュールを立てています。僕は試合をしていたいタイプなので、結果的に16週連続になりました」と本人は語る。今年活躍した選手しか出ることができないレギュラーツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」も入れると16週連続。過去3度制している公式戦も、宮本のスケジュールのなかに入っている。
そんな鉄人・宮本だが、過去には06年から11年にかけて151試合連続出場の記録を作ったこともある。「それは試合数の記録であって、何週連続ではない。レギュラーは16週連続で試合が続くことがないので」と、50歳にして初めて挑む連戦ロードとなる。
今週は7日午前中の飛行機で小松に移動し、10時過ぎにコース入り。先に入っていた師匠の芹澤信雄と藤田寛之の後半のハーフから合流し、2人と別れた後に1人でもう9ホールを回った。連戦の疲れか、はたまた余裕のコース入りにも見えるが、宮本は2年前から今大会をシニアデビューと決めて準備していた。
実は7月の「全英オープン」の週に行われるツアー外競技、「北陸オープン」(富山県・呉羽カントリークラブ)に出場するついでに、宮本はこの小松カントリークラブで練習ラウンドを行っている。一昨年、昨年、今年とすでに3度コースに訪れており、初出場の兄弟子・藤田よりもコースに詳しい。ちなみに、藤田は25年前の97年にチャレンジツアー「小松カントリーカップ」で同コースを回って2位に入っているが、「ここだったかな?」と完全に忘れている様子だった。
芹澤がレギュラーツアーに出場していた時代には、いつも、藤田、宮本とともに練習ラウンドするのが恒例で、見慣れた光景だった。芹澤がシニアに転向したことで、その機会はめっきり少なくなったが、今回は宮本が勝った19年の「中日クラウンズ」以来、3年ぶりの師弟3人での練習ラウンドが実現した。これを宮本は「一番楽しみにしていました。夜のご飯とかも楽しみだし、一緒にできるのが久しぶりなので」とうれしそうに笑う。続けて「僕がデビューした頃の先輩たちが、ペアリングを見てもいっぱいいらっしゃるので楽しみです。先輩たちに会えるのが」と、あすのシニアデビューを心待ちにしている。
宮本がコースに着いてそうそう、先週レギュラーツアーに出ていた谷口徹から、「お前が一番年下なんやから、ちゃんと挨拶せいっていうたやろ」といじられる。それを宮本は「年下が入ってきてうれしそうですね」と切り返す場面もあった。
シニアデビュー戦の目標は「優勝争いしたい。レギュラーツアーでも一緒ですけどね。出るからには優勝争いを目指している。優勝はそのときの運とか必要だと思っているので。優勝争いして自分がいいプレーをすれば、チャンスはあるかなと思っている」と静かに語った。シニアでの目標については「まだ出てないですからね(笑)。藤田さんみたいに2勝すれば、そのさきも海外メジャーに出るとか賞金王になるとか、出てくるかもしれない」とゆったりと構えている。
きょうの練習ラウンドでは、宮本と藤田のシャツがともにオレンジで、パンツの柄までかぶっていた。「僕はオレンジで行くよとは言っておいたんですけど、そうしたら藤田さんもオレンジを着てきてくれた。下は偶然です」と宮本が話せば、藤田は「合わしてないですけども(笑)」と元も子もないことをいう。「記念すべき日だから、(宮本が好きな)オレンジで祝福をね、みたいな」と、3人で笑いながら楽しそうに回る姿が印象的だった。