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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC/FR〉飛ばし屋の兼本貴司、9番のイーグルで流れを変えて3位フィニッシュ 18メートルが「入っちゃった」

2022年08月21日

 7位タイからスタートした兼本貴司が1イーグル・4バーディ・2ボギーの「68」で、トータル7アンダーまで伸ばし、単独3位に順位を上げてフィニッシュ。賞金350万円を積み上げて、賞金ランキング2位をキープした。

 最終日の1番パー4は『元気・ドラコン賞』として賞金100万円が設定されていた。飛ばし屋の兼本は「きのうの夜からドラコンを獲ることを考えていた」という。朝イチの緊張感の中で打ったドライバーは芯を喰ったが、わずかに左ラフに入って記録無し。フェアウェイなら一番飛んでいただけに「ちょっとガックリきて」と、続く2番パー5ではセカンドをミスしてボギーが先行した。

 8番パー3ではティショットをシャンクしてボギー。流れが好転したのは9番パー5だった。ティショットのドライバーはナイスショットで、2打目はピンまで210ヤード。5番アイアンで打ったボールは2オンに成功したものの、イーグルパットは18メートルのスネークライン。「寄せとこうと思ったら入っちゃった」とこれを沈めて、上昇気流に乗った。

 続く10番パー5でもバーディを獲り、大会3日間の難易度が2位と1位の13番と14番でも連続バーディ。一気にスコアを伸ばした。どちらも距離の長いパー4だが、飛ばし屋の兼本には関係なし。ともに「ティショットは4番ウッド、セカンドショットはPW」で打って、それぞれ4メートルと3メートルのバーディパットを沈めた。その驚異的な飛距離は51歳となった今も健在で、ヘッドスピードはレギュラー時代と同じ51m/sをキープ。シニアツアーではトップクラスのスピードを誇る。「キャリーで300ヤード出ています」というから驚きだ。ちなみに学生時代は陸上のやり投げ選手。その経験が「いまでも生きていると思います」と話す。

 兼本はレギュラーツアーでは通算2勝を挙げている。シニアルーキーだった昨年は、『レギュラーツアー2勝以上している者』の資格でフル参戦。しかし、賞金ランキング62位と振るわず、同30位以内に与えられるシードを逃してしまった。今年の出場権をかけて臨んだ3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選」は初日に「79」と出遅れたが、残り2日間で盛り返して13位。今季はほとんどの試合に出られる権利を手にした。

 「沖縄で手応えがあった」と、4月の開幕戦「金秀シニア沖縄オープン」で17位タイに入ると、次戦の「ノジマチャンピオンカップ箱根シニア」では、プレーオフの末にシニアツアー初優勝を果たした。

 この優勝によって早くも来季のシード権を獲得した兼本に、今季の目標について聞くと「優勝の1000万円とプラスあと1000万円稼げるように頑張りたいと」と、そこまで威勢のいい言葉は出てこない。今大会の3位で、獲得賞金は1436万円となり目標の2000万円は目前だが、「達成したら次の目標を探さないと。そんな感じです」とマイペースにシニアツアーを戦う考え。「去年は去年。今年は出来すぎかな」と声は明るい。今後も飛距離を武器に優勝争いに顔を出しそうだ。