レギュラーやシニアで何勝も挙げている鈴木亨や手嶋多一が優勝争いのど真ん中にいる一方で、レギュラー未勝利の“予選会組”も初優勝のチャンスを迎えている。3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選」で5位に入った佐藤えいちが、5バーディ・2ボギーとスコアを伸ばし、最終日は最終組の1つ前、首位と3打差から逆転を狙う。
佐藤といえば、レギュラー時代はドライビングディスタンスのタイトルを獲ったこともある飛ばし屋。51歳となった今でも「振れば320ヤードくらい飛ぶ」と衰えは見せない。だが今年は故障に悩まされている。「春先で忙しくて、飛行機に乗ったり長時間の移動があるなかで、疲労がたまって」と腰痛を発症。これまで全4試合に出場しているものの、6月の「すまいーだカップ」のプレー後は、人から支えてもらわないと歩けないほどだった。
「一番ひどいときは、腰の周りのいろんなところが“つる”んです。すまいーだとスターツでは右がつって直ったときには左がつってとか。パッティングでもバックスイング上げた瞬間にどっかがつるとか、そんな状態でした。今週はそういうのは出ていない。完全ではないですけどね」。
「すまいーだカップ」では、最終日を単独トップで迎えながら「75」を叩いて、11位タイに終わり悔しい思いをした。「スターツシニア」から今大会まで試合が空いたこの2カ月は、クラブを握らない時間を作るなどして回復に努めた。その甲斐あって状態は良くなってきているが、今週も「お風呂で温めて、マッサージガンでほぐしたり」と、腰のケアは欠かせない。
この日は、トップと1打差のトータル5アンダーで最終18番パー5のティイングエリアに立ったが、「18番はティーでかなり待っていて、腰が良くないのを完全に忘れて振っちゃった」と腰に激痛が走って結果はチョロ。18番は大会2日間を通して、3番目にやさしいチャンスホールでバーディがほしかっただけに、スコアの面でも“痛い”ボギーとなった。その後、最終組の鈴木亨が18番をバーディとしたため、その差は3打に開いた。
あすの最終日に向けては、やはり腰痛とうまく折り合いをつけることがポイントとなる。「ヤンチャして振りすぎたりすると、いい結果にならないので、シニアなりのゴルフというか大人のゴルフをしたいなと思います」と話す。そのうえで「気負わず楽しんで来ます」と、自分に過度なプレッシャーをかけるつもりはない。
そんな佐藤の気がかりは、最終日の1番パー4に設定されたドラコン賞。一番飛ばした選手には100万円が贈られる。「あしたの朝だけ頑張らないといけない」と、飛ばし屋の血が騒いで、さっきとは真反対のことをいう。スタートホールで挑戦するもしないも、優勝のチャンスがやってきていることは否めない。