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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC/1R〉ジェットから“愛の説教”で発奮! 来月還暦の久保勝美は首位タイ発進も「シードが第一目標」

2022年08月19日

 久保勝美が、5バーディ・1ボギーの「68」でラウンドし、初日を4アンダーの首位タイで終えた。好発進の裏には、前日の夜に食事をともにした“ジェット”こと尾崎健夫からのアドバイスがあった。

 今大会では、ジェットと食事に行くのが恒例行事。昨夜は久保、ジェット、秋葉真一、飯島宏明、真野佳晃と酒を酌み交わしながらゴルフの話になった。「ジェットさんにはいつもいいアドバイスをいただく。飯島はできている、真野はダメだな、秋葉もずいぶん言われて、きのうは特に僕が集中的に言われましたね」と笑う。

 その内容は、「自分の中でどうしても弱気に、ショットを置きに行ってしまうところがあって、『もっとビシッといけ』と言われました。『ショットが緩んで目標方向に手を出したがるところがあるし、下半身が使えずに上半身だけでゴルフをやっている』とかね。一緒に回ったときとか練習場でも本当によく見ているんですよね。自分の弱いところをズバリ突かれました」。この日はショートアイアンでも手先で置きにいかず、しっかり下半身を使って振るようにしたことで、多くのバーディチャンスを作り出した。本人も「言われたことを気を付けながらやったら、本当にショットは良かった」と振り返る。

 久保は一昨年シードを落としたが、昨年は推薦など限られた試合でシードに復帰した経緯がある。仲が良くいつも練習ラウンドをともにする田村尚之や清水洋一、秋葉が活躍している焦りもあった。「ジェットさんは悔しい思いをしているとか、そういうのもよく分かっているんですよ。スイングの弱点を指摘されて、それを気を付ければあと2、3年はできるって、ずいぶん喝を入れていただきました」。

 「68で回ってこい」。ジェットからそう言われてコースに飛び出すと、注文通りの「68」で帰ってきた。「きょうの夜も一緒なので、『ありがとうございました』って御礼を言いながら一杯やりたいと思っています。いつもいいアドバイスをいただくので、成績で恩返しができれば」と久保は考えている。きっと今晩は『あっぱれ』をもらっているかもしれない。

 そんな68歳の先輩にまったく頭が上がらない久保だが、来月30日には60歳の誕生日を迎える。20年はコロナ禍で試合がなくなり、自宅の草むしりをしていたら腰痛を発症。それが良くなって練習を始めると再び腰痛になった。結局その原因は肉離れだったが、年を追うごとに体はいうことを聞かなくなってきている。

 いつも体を見てもらっているトレーナーからは「プロゴルファーでこんなに体が硬くてよくやっていけますね。他のスポーツじゃ絶対に怪我しますよ」と言われ、トレーニング方法をガラッと変えた。ウェート中心だったものを、昨年12月から柔軟性を高める『初動負荷』を取り入れた。「イチローが有名ですけど、腰痛がなくなったし、右肩も上がるようになった。以前のトレーニングはやればやるほどきつくなってくるんですけど、初動負荷はやればやるほど楽になる」。筋力よりも柔軟性を重視するようになって腰への不安は消えた。余談だが、シニアでは清水や羽川豊など、初動負荷がプチブームとなっている。

 首位タイの好位置で大会2日目を迎える久保だが、「優勝がどのこうのっていうのは僕のゴルフでは厳しい。清水と来年も一緒にできるように、1年でも長くシニアツアーでプレーしたいので、シードが第一目標です」と多くは望んでいない。久保の賞金ランキングは現在15位で、来年のシード権が与えられる30位以内にいる。高額賞金大会で少しでも上位に食いこみ、シードを一気に確定させたい。