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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC〉地元でシニアデビューの真野佳晃 生粋の静岡プロゴルファーとして堂々とプレーを見せる

2022年08月18日

 今年4月にシニアツアーに参戦できる50歳の誕生日を迎えた真野佳晃。御殿場西高校に通い、現在は東富士カントリークラブに所属する生粋の静岡人が、「家から車で15分くらい」という地元開催の「ファンケルクラシック」で、シニアツアーデビューを迎えることになった。

 今季のシニアツアー出場権をかけて挑んだ今年3月の最終予選会では、最終日に「79」を叩いて37位。10位までに与えられるフル出場権を逃してしまった。今大会には7月27日に開催された「静岡プロゴルフ選手権」のシニアの部で優勝を果たし、主催者推薦枠での出場権を獲得した。

 レギュラーツアーでは未勝利ながらショートゲームを武器に、03、04年と賞金シードを獲得。初優勝も期待されたが、ショットイップスに苦しみツアーから撤退した。「37歳で辞めたからツアーは13年ぶり」。実際、最後に出場したのは17年の「日本オープン」だから、およそ5年ぶりのツアー競技となる。近年は東富士カントリークラブで「お客さんと回ったり、コースの仕事をしたり、改修を手伝ったり」していた真野。でも、完全にツアーの世界から離れていたわけではない。ここ3,4年は下部のABEMAツアーで年間5試合ほどコースセッティングアドバイザーを務め、ABEMAの解説もしてきた。

 「試合の解説とかをしていると、自分が現役でレギュラーツアーに出ていたときより、客観的に見られるところもある。こういうふうにやればいいなという目で見られれば、いいプレーができると思う」と自分への期待は高い。さらに、「昔は難しいピン位置を見るとプレッシャーだけかかったけど、そういうピンには必ず、逃げ道というか寄せやすいところがある。そうやって考えられるのはちょっとプラスかな」とコースセッティングアドバイザーの経験も、真野のゴルフに還元されている。

 長年苦しんだショットイップスは「5、6年前から普通に打てるようになった」。イップスのきっかけは右肩の手術をしてから。「かばっていたらおかしくなっちゃった」。クラブは上がるけど下りてこない。「全然当たらないし、右にも左にも曲がるし、距離も行かないし、ずいぶん昔のことで忘れたけど、いまは心配ない」という。ツアーから離れてYouTubeやABEMAツアーに関わるうちに「自分のことを見つめ直せて良くなった」。

※飯島宏明、真野佳晃

 また、地元プロということで、今大会にはキャディとして2度経験を積んでいる。3年前の19年は秋葉真一、昨年は飯島宏明と、仲の良い2人のルーキーイヤーをサポートした。当時秋葉は10位タイ、飯島は16位タイに入っている。「毎年来ているから(20年は中止)、シニアデビュー感はないですね。若いときからツアーに出ていて、先輩たちの顔も知っていますし、みんな普通に受け容れてくれている。そういうのはいいのかなと思います」。久しぶりのツアー出場にも気負いは見られない。ちなみに昨年も今年も飯島は真野の家に泊まっているという仲の良さだ。

 家が近い以外にも真野にはアドバンテージがある。「このコースは山沿いにあるから、ショートホールの風が読みづらかったりするんですけど、風向きは何となく知っているから有利は有利ですね。自分のゴルフは始まってみないとわからないけど、風の読み間違いは他の選手より少ないかな」。研修生時代から知っているコースだけに、不安要素はまったくない。

 今大会で真野のキャディを務めるのは、教え子の村上瑞希。昨年11月の女子プロテストに合格した将来有望な21歳と時間を共有することになった。「今年はステップに出ていて、11月にはここ(裾野CC)でQT(1st STAGE)をやるっていうし、『近くだからやらせてください』って話に。いい子だし心強い」。この3日間は実戦的なコースマネジメントを教える上でも、充実した時間となりそうだ。

 今大会は有観客で入場者数に制限はない。「地元で知っている人が多く来てくれるから、その期待に応えたいですね。ABEMAの若い子も見ているだろうし、あんまり恥ずかしいプレーはできないので頑張ります。不思議と目標の順位やスコアは考えてなくて、楽しんでやれれば一番いいなと」。真野は地元の声援を力に変え、自然体でシニアデビューのティオフを迎える。