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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC〉藤田寛之、シニア出場は英断「海外メジャーにつながっているのがやりがい」

2022年08月18日

 これまではレギュラーツアーで戦うことにこだわってきた53歳の藤田寛之。昨シーズン、23季連続で守り続けてきた賞金シードを失い、今季は生涯獲得賞金25位以内の資格を行使してレギュラーに参戦している。今週は歴代覇者でもある「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」が開催されているが、藤田はそれを蹴ってシニアツアー「ファンケルクラシック」にエントリー。両ツアーが重なっている週に、シニアを選んだのは初めてのことなのだ。

 これには、6月の「スターツシニア」でシニアツアー初優勝を挙げたことが深く関係している。優勝賞金が1400万円と高額だったため、藤田は出場1試合にしてシニアツアー賞金ランキングトップに躍り出た。藤田の狙いは、その先にある海外シニアメジャーの出場権にある。「メジャーの道につながっている。それが少しでも自分のなかでやりがいになる」。今シーズンのシニアツアー賞金ランキング10位以内の上位2名の資格で来年の「全英シニアオープン」、同4位以内の資格で「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」への切符が手に入る。賞金ランクトップに立ったことで、海外メジャー出場のチャンスが、突然視界のなかに表れたのだ。

 レギュラーツアーでは40歳を超えてから12勝を挙げ、12年には43歳にして初めて賞金王のタイトルを掴んだ。しかし、レギュラーで毎週上位に入っていたのはもう過去の話。今季は国内で開催されたレギュラーツアー全11試合に出場して6試合で予選落ち。最高成績は2週前の「日本プロゴルフ選手権」26位タイと苦しい戦いが続いている。賞金ランキングは86位でシード圏内の65位には届いていない。本人も「この年でレギュラー戦うって、まあまあきついんですよ。飛距離の部分もあるし、体が痛いとか感じるし」と、やはり年齢には抗えない。

 かといって、レギュラーでのシード復帰を完全に諦めたかといえば、そうでもない。「海外シニアメジャーかレギュラーのシード権かとなったときに、どちらも魅力的ですし選べない。レギュラーにこだわって出ていたら、せっかくのいまのチャンスもなくなるし」と、完全に割り切れてはいない。

 それでも、今週来週はシニアツアーを優先して「ファンケルクラシック」と「マルハンカップ 太平洋クラブシニア」にエントリー。ともに歴代覇者の「セガサミーカップ」と「KBCオーガスタ」を欠場する苦渋の決断を下した。さらに、同じ芹澤信雄に師事する弟弟子、宮本勝昌がシニアデビューする9月の「コマツオープン」も「付き合います。(翌週の)日本シニアオープンも出ようかな」と示唆。そうなると、レギュラーツアーの「Shinhan Donghae Open」、「ANAオープン」には出ないことになる。ちなみに、ANAオープンも12年に勝っている大会だ。

 その先については「結果次第ですね。出られる試合はシニアとか、シードを獲るためにレギュラーとか、どっちも決められない」とスターツの優勝以来、答えは出ていない。「わからないからやっているうちに、流れに身を任せるしかない。どっちかを選択しないといけないわけで、すごく難しいです。答えがないからね。…なかなか簡単には決断できないです。しかもシニアは若いうちに頑張らないとっていうのがある」と53歳は本気で悩んでいる。

 「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権が得られる賞金ランキング4位には、昨年は田村尚之が入っていて、獲得賞金は2266万円。今大会で優勝して1500万円を上積みすると、藤田の獲得賞金は2900万円となり、それを超える。「うーん…でも(海外シニアメジャーに)行けたから何?っていう問いもある」。どう転んでも自問自答の日々は続きそうだ。