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シニアツアー

【すまいーだカップシニア/2R】混戦を抜け出した佐藤えいちが通算10アンダーで初優勝に王手

2022年06月03日

 PGAシニアツアー第3戦「

すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント

」の第2ラウンド。最終組でスコアを5つ伸ばした佐藤えいち(51)が通算10アンダーで首位の座を守った。1打差2位に野仲茂(51)。さらに1打差8アンダー3位タイには真板潔(62)と田村尚之(57)が続いている。

 今週は腰痛に悩まされている佐藤えいち(51)が通算10アンダーと単独首位に立ち、シニア初優勝に王手をかけた。腰痛といっても、ただ痛いわけではなく、ピキッと電気が走る一歩手前。こわごわした感じだという。腰に大きな不安を抱える状況だが、大事をとらずに、完走することを選択する理由がある。

 今季シニア2戦を終了し、現在賞金ランキングは10位につけている。次戦のスターツシニアまでに30位以内というポジションを獲得すれば、日本シニアオープンへの出場が叶うからだ。シニア1年目で挑戦したシニアツアー1次予選会は腰痛で途中棄権したため、ツアーへの出場機会は、地区予選を突破した日本シニアオープンに限られてしまった。シニア2年目を迎え、今年3月の最終予選会でシニア出場優先順位は5位。今季は日本シニアオープン以外の試合に、フル参戦ができる。大事なシニア一年目で、思う存分試合に参加できなかった、悔しい気持ちをずっと忘れないでいた。

 だからこそ「心待ちにしていたシニアツアーに全試合参加」を目標に、日々の練習を重ねてきた。この試合を含めあと2試合、現状30位以内という順位を守り切って、シニア全試合参加を確約したいという願望だけで、心と身体を繋いできた。

 

 第2ラウンドのスタート1番パー4は4メートル強を決め、バーディーを先行させる。6番パー5では2オン2パットでバーディーを重ね、さらに8番パー5では、6メートル強のイーグルパットを3パットとしてチャンスを逃すも、9番パー4は2.5メートルのパッティングを沈め、前半で3つスコアを伸ばした。

 折り返し10番パー3は、もう少しでホールインワンというベストショット。ベタピンにつけて連続バーディーとし、この時点で9アンダー首位に立った。しかし12番パー4で障害が待ち受けていた。ティーショットはフォローの風に乗り、ボールはバンカー上のカート道へ。残り90ヤードのつま先下がりのライでサンドウェッジを選択したらシャンクが出てしまった。4打目でグリーンオン2パット、痛恨のダブルボギーだった。15番パー5ではアプローチを寄せて1つスコアを戻し、17番パー4では左から7メートルの距離あるパッティングを決めて、ダブルボギー分を取り返した。最終18番でも、右バンカー手前から2メートルに着け、スライスラインを読み切り、この日67ストローク5アンダー通算10アンダーで、佐藤は混戦をひとつ抜け出した。

 毎ショット、腰をかばいながらという痛々しい姿ではあるものの、本人は「念願だった試合ですから、辛いというよりは楽しい」といたって前向きだ。いつ、どのタイミングで腰が「ゴキッ」となるか分からないが「シニアツアーの先輩方は、こういう満身創痍の中でも試合を楽しんでいると思うんです。だんだん痛い人用のスイングが順応してくるのかもしれません(笑)。今日はショットのコントロール性を重視したかったので、アイアンを振るスピードを落としました。あまり遅いと腰に負担がくるのですが、いいスイングバランスを見つけて、色々工夫して。シニア2年目ですが、飛ばしちゃおうとする気持ちがあるので、そこはムリせず、スピードは不要なのかなと」と自己分析している。

 

 佐藤はシニア初優勝に王手をかけた絶好のポジションで最終日を迎える。「あと18ホール。目標としている『完走』まであと少しなので、なんとか乗り切ります」とにっこり。そして「チャンスですよね。優勝争いという駆け引きも今から楽しみです」と目を輝かせた。

 「頑張ります」という笑顔の裏には、壮絶な苦痛が見え隠れする。紙一重でギクッとなりそうな腰の状態を我慢して乗り越えられれば、新生・佐藤えいちのシニア観が見えてくるのかもしれない。