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シニアツアー

【すまいーだカップシニア/1R】シニア2年目、矢澤直樹が出場5試合目で初日首位タイ

2022年06月02日

 PGAシニアツアー第3戦「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」の第1ラウンド。5アンダー首位に立ったのは矢澤直樹(51)、佐藤えいち(51)、田村尚之(57)の3名。1打差4位には清水洋一(59)、秋葉真一(56)、野仲茂(51)、篠崎紀夫(52)ら9名が続く混戦模様。前年覇者のタワン・ウィラチャン(55)は2アンダーで17位につけている。

 シニア2年目の矢澤直樹は、第1ラウンドの18ホール回り終えてスコアを計算すると「5アンダーだ」。1打1打集中を重ね、途中でスコアの計算はしない。「バーディがたくさん取れているなって思っていましたが……」。シニアツアーでは自己ベストとなる8バーディ・3ボギーの「67」で回り、佐藤えいち、田村尚之と並んで首位タイで滑り出した。

 「びっくりですよ。長尺(パター)さまさまです」。知人とラウンドをしている際に、「矢澤君はパターが入らないね」と長尺パターをプレゼントされた。大会前日に見よう見まねで練習を重ねて、即実戦投入を決めた。

「パッティングは苦手で。1ピン(2.5メートル)ぐらいのパットは絶対に入らない」というほど苦手意識を持っていたが、長尺パターは重量があり、「ボールの転がりがいいんです。『打てなかった』と思もってもけっこう行ってくれるんです」と好感触。この日は10番パー3で3メートルを沈めたのを皮切りに、2~3メートルのバーディパットを沈め続けた。シニア2年目、出場5試合目にして初の60台をマークした。

 シニアツアーは大きく分けるとレギュラーツアーで活躍していた選手と、若い頃はレギュラーツアーでは結果を残せなかったがシニア入り後に大成する選手になる。矢澤は後者の選手である。

 父親の影響で小学6年生の頃からゴルフをたしなむ。ほとんど競技経験もなく父親の付き合い程度にゴルフをやっていたが、高校卒業と同時にプロゴルファーを目指す。ゴルフ場の研修生になると、10年かけてプロテストに合格した。1998年にプロゴルファーとなったが、「シード選手になりたいと思ってがんばっていたんですけど、まったくダメでした」。

 2000年にデビューし、46歳になるまでレギュラーツアーのQTを受験。レギュラーツアーの出場経験は11試合に終わり、2011年「日本プロゴルフ選手権」の61位タイが最高成績。なんどかファイナルQTまでコマを進め下部ツアーを主戦場としたが「そこでも大した成績はない」とレギュラーツアーの道が遠かった。

 50歳が近づいてくると、シニアツアーの出場に目標を切り替える。若い頃は飛距離が出ないことにコンプレックスがあり、「ツアーに出ても一番飛ばないぐらい」。シニア入りに向けてコンプレックスの払拭を始めた。2年ほど前から「今までやったことのない」ウェイトトレーニングを開始。「飛距離が20ヤードぐらい伸びて、今ではドライバーだとキャリーで250ヤード以上飛ぶようになりました。うまいこといきました」。

 飛距離アップも手伝って、今季の出場権をかけた最終予選会で8位に入り1年間の出場権を獲得。飛距離には手応えがあったが「いざ入ってみると対して飛ぶ方ではない(笑)。メンツを見て小さくなっています。レギュラーツアーの出場経験がないから、俺にとってシニアのメンバーはレギュラーツアーなんですよ」。

 練習場を見渡すと矢澤が夢見たレギュラーツアーで活躍する選手ばかり。若い頃雲の上の存在的な面々を前に委縮していたが、この日は堂々の首位タイ。「マジ嬉しいです」と白い歯を見せた。

 矢澤は静岡県内のゴルフ練習場「ドリームショット」に勤務。レッスンや受付、芝刈り、掃除などをこなしている。長尺パターをプレゼントしてくれた知人は、この練習場に毎日来るような常連さんという。日ごろは練習場の運営業務に従事しているが、シニアツアーに出場するために有給休暇を取って参戦している。

「自分の中で得意だっていう物はないです。苦手なモノの方が多い。バンカー、アプローチ、今日は入りましたがパターも苦手。ショットも得意ではないですし」と謙遜交じりに自己評価をするが、「67」を出したのは紛れもない事実。「今季の目標はシード選手になりたい。優勝なんておこがましいですよ。残り2日、上位に入れるいい位置で回りたい」。レギュラーツアー時代に叶えられなかった目標に向かって突き進む。