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シニアツアー

<金秀シニア・スーパーシニアFR>佐野修一が逆転で本大会2回目の制覇!

2022年04月08日

 スーパーシニアの部の第2ラウンド。コースは強い風が吹き抜け、グリーンも硬く引き締まり、コース難易度が高まる中、海老原清治(73)と佐野修一(74)が、149ストローク、通算5オーバーで首位タイに。スーパーシニアの競技条件では、1位者が2選手以上の場合、プレーオフは行われず、年齢上位者が勝者となるため、佐野が今年のチャンピオンに輝いた。

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  ワクワクする最終ラウンドのスタート前。佐野にとっては、一番の好敵手である海老原とのペアリングだった。闘志がみなぎる佐野は「若い奴に負けても、清治だけには負けたくない」と内心ひそかに目標を定めて1番ティーインググランドに向かった。海老原とは「今朝の風と難しいグリーンだったら、最後の最後まで全く展開がわからなくなるよ」と予想していた。だからこそ、佐野はチャンスがくるまでじっと我慢を続けた。「勝負は後半だろうな」と感じていた。

   ライバルの海老原は2、3番ホールで連続ボギーを叩くが、6番ホールでバーディー奪取。8、9番で再び連続ボギー。前半で海老原は3つスコアを落としてしまう。佐野は前半パープレーで乗り切り、海老原とは2打差をリードしていた。

 午後に入ると北東から5メートルの風が吹いてきた。佐野は11番パー4で1つスコアを落とすと、続く12番パー5でティーショットがバンカー土手に捕まり、連続ボギー。さらに不運は続き、13番パー4でもティーショットバンカーで3連続ボギーと苦しい展開に。この時点で佐野は通算6オーバーとなり、海老原とスコアが並んだ。佐野は勝ちたい一心で進んだ15番パー4。アゲンストの風に渾身のティーショットをぶつける。セカンドショットを下から3.5メートルの距離につけてバーディーとし、海老原を逆転。しかし16番パー4で海老原もバーディーで佐野に食らいついてくる。喜瀬特有の風に最終ホールまで悩まされたが、ライバルの2人は通算5オーバー、同スコアでホールアウト。「清治、俺たち健闘したな」とロッカールームで話しているところに、大会スタッフから「最終組の上位選手がスコアを落としてしまったので、優勝は佐野さんに決定です」と吉報が届いた。「まさか、まさか、まさか!!」。佐野は喜びを爆発させた。

 「優勝」の二文字は自分が嬉しいだけの単純なことではない。佐野は長いプロ生活の中で、数多くの経験から得られた賞金以上の価値があることを知っている。「ライバルの清治と一緒にプレーしたから今回の優勝がある。ライバルの存在に刺激を受けているし、仲間がいることに、心から感謝しているんだ。プロ選手は、ずっと勉強させてもらうものなんだ」。佐野はぐっと表情を引き締めて話し続ける。「僕ももう74歳。優勝という二文字を家に持ち帰ることができる。家族を笑顔にすることができる。女房が一番喜んでくれるはずで、これ以上の幸せはないんだよ」。この優勝を聞きつけてくれた子供たちは、すでに実家を離れているが、近いうち孫を連れて訪ねてくれるかもしれない。そして3世代でゴルフを楽しめる時もくるかもしれない。佐野は、「プロとしてチャンスがある限り、関東ゴールド、日本ゴールドでも優勝を狙うよ」とゴルフを通じて家族への熱い思いを巡らせた。