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〔新人戦富士可児カップ/FR〕縁のある富士カントリーで成長を遂げている八太大和は惜しくも2位

2022年12月23日

 新人戦富士可児カップの最終ラウンドは、強い寒気の影響を受け早朝からコースには雪が舞い、積雪と凍結の状態回復を見込んで当初朝9時スタートから90分予定を遅らせた。さらに日照時間も鑑み9ホール(10番スタート)を加えた27ホールで競技成立を目指すことになった。

 第1ラウンドでは雨に寒さが加わる厳しい天候にも関わらず66をマークした谷本蓮がトップに立ち、3打差で服部雅也、鈴木大哉、八太大和の3名が谷本を追う展開が予想された。最終ラウンドの最終組は12時9分にスタート。10番パー4ホールで谷本はボギー、八太は2オンしたものの、ファーストパットがカップをすり抜け約2メートルをオーバー。返しのパットはわずかに外れ、ボールマークをせずに打った「お先」パットも決められずにまさかの4パット・ダブルボギー。「空回りしてしまった」とスタートから八太には不穏な空気が流れ始めていた。

 谷本は11番ボギー、12番、13番で連続ダブルボギー。追われる谷本は悪い流れを断ち切ることができなくなってしまっていた。一方で八太は12番パー5でアプローチを2メートル弱に寄せてバーディー。「いつもとやることは同じ。焦らない」と肝に銘じ、チャンスが来る時を待ち続けた。強い風という状況下では、スコアメイクよりも我慢比べが求められた。17番パー5では、第1ラウンドと同じくグリーンサイドのクリークに入れてしまったが、ショットが冴えていたこともありパーでしのぐことができた。最終18番も難しいパーパットを沈め37でホールアウトし、同スコアで回った鈴木とプレーオフ対決をすることになった。

 三重県出身の八太は三重高等学校ゴルフ部時代から数々の競技会に参加。富士カントリーで開催された中部地区のジュニア大会でも優勝しているが、その試合で初のプレーオフを経験し2ホール目で優勝を決めた。だからこそ得意のコースで再び巡ってきたプレーオフの優勝チャンスを手中に収めたかった。

 プレーオフ2ホール目の18番パー4ホール。ティーショットはクロスバンカーへ。「バンカーは得意」と放ったショットはグリーンをわずかに外れてアプローチ勝負へ。普段から18番ホールは「パーセーブができればいい」マネジメントをしていたこともあり、プレーオフという相手の1打と勝負する場面では安全運転に徹してしまった。八太のアプローチは絶妙な距離につけられたが、グリーンキャッチしていた鈴木が7メートルのバーディーパットを沈め、ここで勝負あり。「もうちょっと・・・なんとかできたかも」と八太は振り返ったが、「苦しい場面で凌いだり、悪天候の中でもスコアを崩さなかったことは、少しだけ成長できているかもしれませんね」と気持ちを切り替えた。

 プレーオフには敗れてしまったが大きな目標も得られた。「絶対に・・・絶対に近いうち1つは優勝したいです。これでプロが終わりじゃなくて、スタートなんですよね。これからは猛練習して、日本プロの出場資格を絶対に手に入れます」と口元を引き締めた。

 インタビューの最後には「富士カントリーさんが早朝から寒さ厳しい中で、新人プロのためにコースを提供してくださったことに感謝しかありません。時間を要したプレーオフでしたが、コースみなさんのおかげで大会が無事に終えられて、ありがとうございました」と八太はペコリと頭をさげ、笑顔で一日を振り返った。大会最後まで、八太の誠実な人柄が表れていた。

 八太にとって富士カントリーはジュニア時代から思い出の多い場所。負けたからこそ得られた目標を手に、新生プロゴルファー・八太大和として新しい年を迎える。