今年6月のスターツシニアでシニア初優勝を飾り、8月マルハン太平洋シニアで2勝目を挙げ、賞金ランキング2位としてシニアツアーで活躍を見せた藤田寛之。日立3ツアーズ選手権の直前までレギュラーツアーファイナルQTに参加して、まだまだ若手と戦う場を求め挑戦を続けている。
そんな藤田にとって、日立3ツアーズ選手権はスター選手しか出場できない「ブロードウェイ」。藤田自身もJGTOチーム時代を含め4度目の出場となるが、今年は特に感慨深い一年だったという。「当初はレギュラーツアーを中心としたスケジュールで空き週にシニアに参戦というつもりだったのですが、6月のスターツシニアで3日間ノーボギー完全優勝が出来て、ランキング上位に入るようになり、海外シニアメジャー挑戦という新しい目標も思わぬ形で生まれたんですよね」と充実した表情を見せた。
3年前、シニアルーキー藤田としてたくさんの注目を集めた当時を振り返ると「シニアというイメージは、先輩たちが一生懸命に戦ってるわかりやすい場所かなって思っていた」という。しかし今年は活躍して以降、「シニア」の捉え方が大きく変化した。「シニアツアーはたくさんの人の支えがあって、チャンスを与えてくれたり、その姿を多くのファンが温かく見ていてくれたり。そういう意味で『深み』とか『味』があります。シニアツアーの雰囲気は、ゆるくていいんですよね。居心地がいいです。ゆるいんですけどね、ゆるいなりに最近は尾崎健夫さんからご指名受けていじられたりと、なんだか可愛がってもらったりして」と笑顔で振り返る。「会場ではまず挨拶。上下関係がしっかりあることも懐かしいですし、それは人間味があるなと感じています」。藤田にとってシニアは、すでに新ステージであり生活の一部になっている。
日立3ツアーズ選手権の前週に参加していたファイナルQTには26年振り。「今までレギュラーツアーでやってきたというこだわりがあったからこそ、シニアでチャンスができたと思っています。シニアをメインにするとレギュラーを犠牲にせざるを得ない時もあるのですが、それはその時にベストな選択。今は両ツアーに参加する形ですが、プロゴルファーとして生きる道を選んだ以上、ツアーというステージには立ち続けたい。スポンサーがまだレギュラーで頑張ってほしいと思っていてくださることもありますし、もどかしいですが、これも結果が求められるプロの宿命なんでしょうね」。
藤田は57位という出場優先順位を獲得し、来年はスケジュールが許す限り、レギュラーツアー、シニアツアー、AbemaTVツアーにも積極的に出場したいという。さらに海外シニアメジャーへの挑戦は、今の実力を試す絶好のチャンスとなってくる。
さらに「こうやってまた来年、日立3ツアーズ選手権に出場するためにも、シーズン良いパフォーマンスを出せればいい。イベント全体がこんなに面白く魅力ある大会は本当に貴重ですから」といい、53歳藤田は平均年齢が24歳のチームが優勝を喜んでいる姿をみて微笑んだ。
味と深みのあるシニアツアーを知った「プロゴルファー藤田寛之」の冒険はまだまだ続く。