最終ラウンドで伊藤正己(66)が69ストロークで回り、138ストローク通算6アンダーとし大会3勝目を挙げた。優勝賞金20万円と来年の日本プロゴルフグランドシニア選手権出場資格が与えられた。優勝副賞にはミドリ安全の「腰部保護ベルト一体型ゴルフパンツ・ミドリPF1」が贈られた。先週行われた50歳以上のティーチングプロシニア選手権優勝に続いて圧巻の連戦・連勝。今季は5月に関西プロゴルフグランドシニア選手権大会で優勝しており、快進撃を披露した。
伊藤の快進撃はアウト1番ホールから連続バーディー奪取でスタート。アップダウンのある丘陵コースで狭いランディングエリアであっても、ティーショットはドライバーを振り切る自信がある。5、6番ホール、さらに8番でもバーディーを重ね、前半は31をマークし他を寄せ付けないプレーを展開。この時点で「優勝」の二文字が近づいた。
後半に入り11番パー5は2オンに成功したが3パット。「スコア伸ばそうと勝負したんだけどね、全然カップに届かなくて」と悔しがる。凌ぐホールが続き14番パー4で再び3バットボギー。さらに16番パー5でも3パットとグリーンのタッチが合わなくなってしまう。それでも最終18番では長いパッティングをきちんと寄せてパーセーブとし、2位に3打差をつけ嬉しい優勝を手に入れた。
本人は「なんでいいのかわからんね」と首をかしげて不思議がる。ただ言えることはコースとの相性が抜群に良いということ。「研修生時代にね、練習を積んだ日吉ハイランド倶楽部(岐阜県瑞浪市)は、阿山と同じで距離が短く狭い。その時の経験が生きているんだろうね」と振り返る。研修生時代は必死にプレーに向き合う3年間を過ごし、プロテスト4回は1打差で涙をのんだ。6回目でようやく合格を掴み、現在所属する明智ゴルフ倶楽部明智ゴルフ場に移籍。伊藤はかれこれ40年近く明智ゴルフ倶楽部と共にプロ人生を歩んできた。
ティーショットは14ホール中12ホールで迷いなくドライバーを選択した。先週のティーチングプロシニア選手権大会で初めて使用したという最新ギアの「ステルス」が功を奏した。伊藤のドライバー飛距離は260~270ヤード。球を曲げてゲームの組み立てをする中で、「決してコースは見た目じゃない。自分の持ち球からマネジメントを想定する。今回の新兵器は思った以上に曲がるんだけど、リカバーできる範囲内で収まってくれたから良かったんですね」と胸をなでおろした。
ゴルフへの探求心は強く、最新ギアの評判を聞きつけてはすぐに購入して試してみるという。「だって、まだまだ上手になりたいでしょう。もちろん感覚的なものは人それぞれだから、良い悪いは自分で確かめないと。合わなかったらすぐに欲しいって人にあげちゃう」と笑い、伊藤には強いハングリー精神があるからこそ試合に挑み続ける理由がある。
来週11月17日、18日には岐阜にある富士カントリー可児クラブ志野コースで「中部シニアオープン」(中部ゴルフ連盟主催)が控えているという。伊藤はこれまで4度優勝をしているが、好調な流れで挑む地元での試合に「どうなるかわからないけどハマればチャンスがある」と目論見もある。この流れを絶やさずに、年末に行われるシニアツアー予選会を突破することが最終目標。そして70歳までは目いっぱいプロゴルファーとして戦い抜くことが、お世話になっている明智ゴルフ場への恩返しになる。