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ティーチングプロ

〈TCPシニア選手権/FR〉念願だったティーチングプロ「シニア」タイトルを獲得した伊藤正己

2022年11月02日

 「第18回PGAティーチングプロシニア選手権大会」の最終ラウンド。難グリーンにスコアが伸び悩む中、単独首位スタートの伊藤正己(66・TP-A)が76とスコアを落とすが通算2アンダーとして逃げ切り、完全優勝を飾った。伊藤は2016年、2017年と60歳以上のティーチンググランドシニア選手権で大会連覇を果たしているが、50歳以上のシニア部門で念願のタイトルを掴んだ。優勝賞金60万円と日本プロシニア出場資格が付与された。また優勝副賞に「グランドハイアット東京ペア宿泊券」、「ソニースマートゴルフレッスン」さらに「腰部保護ベルト一体型ゴルフパンツ・ミドリPF1」が贈られた。

 66歳の伊藤は、第1ラウンドで66をマークし、エージシュートまで達成するという離れ業を見せていた。2位に3打差をつけてスタートした最終ラウンドは、予想よりも苦戦を強いられることになる。前日バーディーだった2番ホールで、まさかの3パットボギー。「落ち着かないと」と気持ちを奮い立たせた。4番パー3はティーショットは左のラフに入ったがチップインバーディーでスコアを戻すと、5番で再び3パットボギー。6番パー5でピンに絡むバーディー。8番パー3のバンカーショットは1メートルにつけたがボギーとし、出入りの激しい前半を終える。


 第1ラウンドのような流れが作れず、焦りが生じる。後半10番パー5はバーディーと幸先の良い流れになったと感じたが、11、12番で連続ボギーを叩く。「パッティングがいけいけになったり、ショートしたり、もうバラバラでした」と振り返る。パーでしのぐホールが続き17番で3パットとさらにスコアを落としてしまう。

 18番の速報ボードを確認し「ダブルボギーでも勝てる」と伊藤は自分を鼓舞した。難易度の高い18番パー4で、セカンド残り180ヤードを自信あるユーティリティ5番で振り抜いたが、グリーンをとらえきれずボールは池に消えた。ラスト2ホールをボギーとして「カッコ悪いなぁ」といいながらホールアウトしたが、2位に2打差をつけて優勝を勝ち取ることができた。


 伊藤は爆発力がある選手として、シニアツアーでも有名なベテランプロだ。2019年ノジマチャンピオンカップ箱根の第1ラウンドで62ストローク63歳、2021年日本シニアオープンの第1ラウンドでは65ストローク65歳で達成し2度のエージシュート記録を持っている。本大会の第1ラウンドで66をマークし、シニアツアープレーヤーとしての実力と存在を知らしめた。試合で3度目達成に「そりゃあ、本当に嬉しいです。エージシュートを達成しても優勝できないジンクスがあったので、今回は目標を1つクリアですよ」と素直に喜んだ。


 しかし66歳という年齢を迎え、強さの秘訣はどこにあるのだろう。「トレーニングまでいかんけど、週2回、だいたい4キロくらいスポーツクラブで泳いでます。かれこれ30年くらい続けてます。それと試合以外は朝3キロ必ずウォーキング。やり過ぎると疲労骨折するし、血圧も上がるから、そのあたりは自分のベストなコンディション維持ですね」。プロゴルファーとして戦うことを覚悟した以上は、トレーニングをこつこつ積み重ねてきた。伊藤はずっと信じ続け、優勝する時を待っていた。


 今年4月、ティーチングプロ1次予選をトップ通過。今年5月には関西プロゴルフグランドシニア選手権大会で優勝し、関西グランド2勝目を挙げている。8月の2次予選でも2位に4打差をつけて堂々のトップ通過。この時点で「シニア選手権で優勝したい」と目標を打ちたて、準備を進めてきた。

「70歳まではシニアツアーにも挑戦します。夢は日本グランドシニアを制覇すること。友利さんとか室田さんといった強敵がいるし、自分があと2年でゴールド入り(68歳以上)するまでに、日本タイトルを獲りたい」と力強く口にした。


 心地よい表彰式を終えた伊藤は、約400キロ運転して自宅のある岐阜に帰宅する。「電車が嫌いなもんで、どこでも車で行きます。その間に祝電かかってきても、絶対に出ないよ(笑)。もう所属コースや知人から着信入っちゃってるけどね」と無邪気な表情をのぞかせた。今回の貴重な試合経験を生かして、さらにコースレッスンにも精を出し、気力・体力みなぎるベテランシニアは、所属する明智ゴルフ場だけでなく、シニアツアーに夢のある話題を提供し続けるだろう。